みんなの笑顔が三重(みえ)てくる Jima-t’s diary

「地域性」に光をあて、「違い」を学び、リスペクトし、楽しむというスタンスで四日市や三重の魅力を伝えていきます

三重県の方言 その1

Ep.4

広島弁の「じゃけん」

茨城弁の「だっぺ」

遠州弁の「だら」

 

に相当し、「三重弁」を表現する最も象徴的な方言、

それこそが『やん』(否定形)である。

 

三重県はプチ関西弁ということもあり、「やん」は例えば、

付加疑問文の「〜でしょ?」の意味で、「〜してるやん?」とか、

強調の「じゃん!」の意味で、「カッコエエやん!」

などもある。

 

ただここで取り上げたいのは、「否定形『ない』の意味としての『やん』」のことだ。

 

使用例としては、下記のようなもの(全て私の実体験)となる。

 

・駐車場で隣の車とのスペースをギリギリで駐車してしまった運転手のお母さんに対して、不満ながら後部座席から外に出ようとした娘さんの言葉

 「出れやん!」

 

・図書館に入場してきたお母さんが幼い娘さんに言った

 「借りやんでもいいからね」

 

・酒屋のご主人の説明中に出てきた

 「瓶囲いというのは、タンクに入れやんで、瓶に・・・」

 

・会社の後輩(地元出身)にある光学フィルムの屈折率を測定してもらおうとしたときの後輩の言葉

 「これ、できやんすね! 測定、できやんっっすねー!」

 

などである。

 

先日も会社にて、比較的地元出身の方たちが多く出席するある会議に出たとき、

高頻度で『やん』が出てくるため、私としては都度それに反応してしまい、たいして議論に集中できなかった、ということもあった。

(話は逸れるが、私たちが日常、こんなにも否定文を利用しているんだ、ということが分かった)

 

 

他県出身の私にとっては、これは、本当に不思議なのだけれど、

文脈の中で、否定形としての『ない』がいざ出てくるというそのとき、

彼ら(三重人 みえじん)は、必ず、器用に、かつ実にナチュラルに『やん』に変換するのだ。

 

ここで気付くことは、『ない』を『やん』に言い換えたところで、別に省略されて言い易くなっているわけではないということだ。同じ2文字(2音)だし。

 

 

非常に興味深いのは言うまでもないとして、

これは一体どいうことなんだろう? としばらくの期間考察していたのだけれど、ある仮説に至った。

 

 

例えば私たちが、外国語で何かを表現しようとするとき、

ビギナーの人ならば、まずは頭の中で日本語の文章を考えた後、それを外国語に変換するというプロセスを経るはずだ。

 

しかし三重人があんなにもナチュラルに『やん』を使用してくる様子を見ると、

そもそも彼らは『ない』を『やん』に変換するというプロセスがなされていないものと思われる。

つまり、彼らは『やん』のネイティブなのだ。

 

 

なんだ、そういうことだったのか〜、ということでこの自説を地元出身の美容師のにいちゃん(四日市市富田一色町出身)に聞いたところ、

 

「そうかもしれないですね! というか、ぼくら『やん』使うとき、あまり何も考えてないんすよね!」

とのことだ。

 

三重弁の象徴たる『やん』(否定形)は、今後もこの地で使われ続けることだろう。

 

 

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Mie dialect  part 1

Ep.4

I’m so interested in dialect.  Of course Mie prefecture has “Mie dialect”.

 

The most impression one is definitely “やん yan” (as negative expression) to replace “ない nai” as general negative form.

 

Mie citizen uses “yan” very naturally and smoothly in their negative context.

On my hypothesis, Mie citizen is a native “yan” user without using “nai”.

Such a distinct dialect will be used in this region.