Ep.5
市内で小学校の教員をしている妻が、興味深い情報をもたらしてくれた。
児童たちが、
『せー・のー・で・わっ!』
と言っているというのだ。
それは興味深い。
早速、会社の後輩(地元出身)に聞いてみた。
私: 「三重の人って、『せー・のー・で・わっ!』って言う?」
後輩: 「!? 言いますね!」
私: 「最後の『わっ!』いるの?」
後輩: 「・・・いりますよ!」
私: 「『で』でいくんじゃないの?」
後輩: 「『わっ!』でしょ。違うんすか?」
私: 「普通は『いっ・せー・のー・で!』とか『いっ・せー・のー・せ!』じゃないの?」
後輩: 「え!? そうなんすか?」
という会話だった。
私たちは例えば、複数人で何か重たいものをタイミングを合わせて持ち上げようとする際、上記のような掛け声を使用する。
上の例でいくと、もし他県出身者が1人混じっていたら、タイミングがずれてしまうではないか。
担当の美容師のにいちゃん(四日市市富田一色町出身)にも聞いたところ、全く同じ回答だった。予期せぬところにユニークな違いがあるものだ..
何故『で』でいかないのだろう?、と思っていたのだけれど、しばらくした後で気付いたことがある。
三重人は、『せー・のー・で・わっ!』と言っているのであり、決して、
『いっ・せー・のー・で・わっ!』
とは言わない。
全国標準『いっ・せー・のー・で!』も、
三重県の『せー・のー・で・わっ!』も、
ともに1・2・3の後の4拍目でいくことに変わりはない!
そう考えると、何も変ではないではないか。
そもそも、力を入れるジャストタイミングのときの音が、『で』であるか『わっ』であるかなんていうのは重要ではなく、
その前に全員の呼吸をアジャストし、対象にフォーカスするのに必要な事前の間が、
ワン・ツー・スリー、だったのだ。
というわけで、業務でこの掛け声を体験する(或いは己から積極的に使用する)シチュエーションが来ないかな、と密かに期待していたのだけど、そうそうチャンスは来なかった。
そんな折、県内のある山に登ったときに、はからずも私自身がこれを実際に見る(聞く)機会に巡りあった。
山頂にて、私の左側にいた小学生の姉妹が、山々を背景に写真を撮ろうとしていた。
お姉さんの方が被写体である妹さんに向かって、
『せー・のー・で・わっ!』
と言っているではないか!?
妹さんは、『わっ!』のタイミングでのジャンプを試みていた。
要するに、背景の山々は今自分たちがいる山頂よりも背が低いため、ジャンプすることで、山々を飛び越えているように見える、そんな写真を撮りたかったものと思われる。
(うわ〜本当に使うんだ!)
と心の中で思っていたら、今度は私の右側で、
小学生の兄弟が、
『いっ・せー・のー・で!』
と言ってやはりジャンプしているではないか!?
こちらはきっと他県からやって来たのだろう。
なるほど、この掛け声によって三重県出身者かどうかが分かるんだ!
と独り納得したのだった。
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Mie dialect part 2
Ep.5
For example, if we lift up something heavy object with multiple people, we might say
“いっ Ye / せー Se / のー No / で! De ! ” as mutual adjustment in general.
But curiously Mie citizen say
“せー Se / のー No / で De / わっ! Wa ! ”
I think this is one of Mie dialect.
Initially I felt strange, but I noticed for a while.
“わっ Wa” as final sound is very unique, but it is not important that final sound is
“で De ” or “わっ Wa ”.
Both standard and Mie version adjust timing with 4th sound after 1st, 2nd, and 3rd.
That’s why they are not big difference.