みんなの笑顔が三重(みえ)てくる Jima-t’s diary

「地域性」に光をあて、「違い」を学び、リスペクトし、楽しむというスタンスで四日市や三重の魅力を伝えていきます

全日本大学駅伝 2021

Ep.74

大半の三重県民にとっての大動脈、国道23号線(通称「にーさん」)が1年間で最も注目を集める日は、全日本大学駅伝が行われる日だ。

何しろ名古屋・熱田神宮から伊勢神宮までの106.8kmで争われるこの駅伝は、1区から8区までずっと「にーさん」を走っているのだから。

 

以前にも記したが、私はこの駅伝の大ファンだ(Ep.1214参照)。

だから今年も観戦に訪れるつもりでいたが、前日にコロナワクチン2回目を打って少し火照っていたこともあり、

今年は自宅でTV観戦でいいか、と心が傾きかけていた。

 

しかし当日、スタート時からずっとTV中継を観ていて、3区で東京国際大学のイェゴン・ヴィンセント選手が相変わらずの爆走で早稲田のエース、中谷雄飛選手をかわしてトップに出た場面を見た辺りから、心がエキサイトして臨界点を突破し、

これは現地に観戦しに行かなきゃダメだ

と思いたった。

 

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イェゴン・ヴィンセント選手(東京国際大学) 4yearsより

 

時間的にはまだ間に合うので、チャリを30分漕いで最寄りの「にーさん」に辿り着いた。ヴィンセントはもう見られないが、その次の4区の中間点付近での観戦だ。

 

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4区

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トップの東京国際大がやってきた。堀畑圭佳吾選手だ。おー、ヴィンセントが作ったリードを守っている。

 

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ランナーが通過するたび、拍手を送った。心からのエールを込めて。エネルギーが届くように。

最後のランナーが通過するまで10分間程度に過ぎなかったけれど、実にすがすがしい気分だった。

 

帰宅して再びTV観戦の続きだ。

 

 

私は駒澤大学のファンなので、この後、駒澤がトップでゴールテープを切り、歴代最多を更新する14回目の優勝を成し遂げたレースに歓喜した。

 

しかしながら序盤から実に苦しい展開。ギリギリの勝利だった。

全日本ではたとえ1区間、2区間でミスをしても優勝できることは歴史が証明している。しかし今回の駒澤のように、3区終了時点でトップから2分20秒差、5区終了時点でトップから1分51秒差、を逆転したというのは記憶にない。

 

ひいきの駒澤が勝ったのでいくらでも語れてしまうが、以下2点に絞って今レースの感想を記したい。

 

1. 冴え渡った指揮官の読み

わずか8秒差で敗れた青山学院大学の原晋監督は、レース後のインタビューで

「監督の采配ミス」「パズルの組み合わせに失敗した」と唇を噛んだ。

駅伝ではライバルチームのキーとなる選手がどの区間を走るか、を読んだ上で自チームの区間配置を決定する。

 

対して駒澤の大八木弘明監督。

「(エースの田澤廉を8区アンカーに置くと)それまでに他チームに差をつけられてしまう」との読みのもと、7区に配置した。

これにより青学は7区エースの近藤幸太郎選手で駒澤を引き離し、トップで8区につなぐというシナリオが崩れた。

 

もし駒澤の7、8区が花尾恭輔、田澤の順番だったら勝てなかったかもしれない。

名将同士の読み合いで、大八木監督が上回ったのだ。

 

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監督車の大八木監督

 

2. 王者のメンタリティ

7区の序盤、8区の中盤〜最終盤は、トップを走る駒澤の背中に青学の選手がピタリと張り付くという状況だった。

駅伝や長距離走では、絶対的な力の差がない限り、後ろを走る選手の方が圧倒的に有利とされる。

それもあってTV中継の解説陣、瀬古利彦渡辺康幸大迫傑(奇しくもみな早稲田だ)は、

「田澤は(青学の近藤に前に行かせて)自分が背中につく考えはあると思う」

「花尾くんは(青学の飯田貴之に)前に出させるという作戦もいい」

としきりに述べていた。

 

だがフタを開けてみると、両者とも一度も青学の背中を拝むことはなく、田澤は近藤を18秒突き離し、花尾はラスト2kmで飯田を突き離し、マッチレースでも勝利した。

 

「(近藤を)ライバルだと思っていない」「絶対に負けることはないと思っていた」(田澤)

「後ろに引いたら負けだと思っていた」「ラストスパートになったら勝てる自信があった」(花尾)

 

解説者たちは田澤と花尾のメンタリティを完全に読み誤っていた。彼らの自信やファイティングスピリットを。

3人の元エリートランナーたちが

「相手に引っ張ってもらう」という消極的な戦術を揃って進言した中において、当の本人たちはそんなこと考えていなかったというのが痛快だった。

 

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田澤から花尾へのリレー  Number Web より

 

10km以上背後につかれながらも最後までトップを譲らなかった花尾選手のパフォーマンスは、駅伝や長距離走の世界では最大級に賞賛されるべきものだ。

 

一方で、勝負に徹しながらも及ばなかった飯田選手の悔しさにも思いを馳せたい。

ゴール後、悔しさから泣き崩れ拳で地面を叩いたその姿は、2012年の日本選手権10000mで佐藤悠基に後ろにピタリとつかれながらもレースを引っ張りラスト100mでさされて敗れ悔しさから泣き崩れ拳で何度も地面を叩き続けた大迫傑の姿を思い出させたからだ。

 

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花尾恭輔選手(駒澤大学) 全日本大学駅伝 HPより

 

私は全日本大学駅伝を15年前から見続けているが、今年は、これまで見てきたのとは明確に異なるあるモノがあった。

それは私が、「三重県で暮らして2年が過ぎた」という確かな事実に紐づくモノだった。

 

冒頭で書いたように、私にとって国道23号線の特に桑名から津にかけてのエリアというのは、チャリやクルマで毎週末走り回っているエリアだ。だからTV中継で選手の背後に見える景色や建物も全て把握している。地理や物理的な距離感についても。

 

だから今、想うことがある。

 

名古屋から伊勢神宮までの距離をたったの8人で走ってつなぐ

 

それは何というか、とても「尊い」ことだと思う。

今の私には、それを肌感覚で知覚することができる。

 

駒澤のアンカー、花尾選手は笑顔で言っていた。

「タスキが汗でびしょびしょで、選手みんながつないできてくれたという重みを感じた」と。

 

2021年の全日本大学駅伝はこうして幕を閉じた。

 

 

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All Japan university ekiden championship 2021

Ep.74

All Japan university ekiden championship was held in Mie including my city, Yokkaichi.

I love this race for long time, so go to see.  The 4th section is the nearest point from my apartment.

 

I cheered all runners alongside course without voice, only hand clapping!

Even though at least 10min, it made me enjoy.

 

In this year’s competition, my favorite team, Komazawa university won.

 

On the other hand, as a person who lived in Mie, I could understand that how “precious” this race was!

Because only 8 runners relayed one by one, finally arrived at Ise-shrine from Nagoya city, so long 106.8km!

I deeply considered this long-distance proudful race.