みんなの笑顔が三重(みえ)てくる Jima-t’s diary

「地域性」に光をあて、「違い」を学び、リスペクトし、楽しむというスタンスで四日市や三重の魅力を伝えていきます

全日本大学駅伝

Ep.12

谷口浩美は本当に首を傾けて走っていた!

 

あれは私が小学校低学年のときだったから、1992〜1995年頃のことだったと思う。

私は当時父が勤務していた会社の目の前の沿道で、両親とともに中国駅伝を観戦していた。

 

中国駅伝とは、中華人民共和国で行われる駅伝のことではない。

日本の、中国地方でかつて行われていた駅伝のことだ。

(現在では廃止され、毎年1月下旬に広島で行われる都道府県対抗男子駅伝に引き継がれた)

 

冒頭の谷口浩美選手は、日本男子マラソン界の名ランナーの一人で、当時旭化成に所属していた。1992年のバルセロナ五輪で転倒してしまったことでも有名である。

 

谷口選手を既にテレビで観て知っていた私は、谷口選手の走りの癖、つまりやや首を傾けて走ることも知っていた。

 

その谷口選手が、私の目の前で、テレビで観るままに本当に首を傾けて走っていたことに驚いたのだ。

 

父が野太い声で

「頑張れ!!」

と言っていた。

 

幼い私は、選手に声をかけるのはなんだか恥ずかしいな、と思った。

あっという間に通り過ぎていった谷口選手をただ目で追っただけだった。

 

 

あれから25年以上もの月日が流れた。

私はその後も、陸上長距離(トラック・駅伝・マラソン)のファンであり続けたものの、沿道で生観戦する機会には恵まれなかった。

 

2019年11月、四日市に来てから迎えた最初の日曜日は、「全日本大学駅伝」が行われた日だった。

 

ご存知の方も多いと思うが、「全日本大学駅伝」とは、

出雲駅伝」「箱根駅伝」と並ぶ学生3大駅伝の一つで、名古屋の熱田神宮から伊勢神宮までの8区間106.8kmを走るレースだ。

 

コースはひたすら伊勢湾岸沿いを走る。つまり三重県民にはおなじみの国道23号線を南下するというもので、まさに三重県南北縦断レースと言っても良いだろう。

そして四日市市内は、おもに4区のランナーが走ることとなる。

 

私は自分の住む街に駅伝がやってくることに興奮し、沿道で観戦できる貴重な機会を逃すまいと、あまり気乗りしていない妻を連れて行くこととした。

 

箱根駅伝のあの沿道を埋め尽くす大群衆を想像すると、早めに行って場所を確保するのが良い。

私たちは近鉄の塩浜駅で下車してから歩いて国道23号線まで向かうことにした。

 

塩浜駅にて、下車する人たちが多数。

小さなお子さんを連れた家族連れと1人で来ている男性が多い。

 

「さすが全日本!たくさん観に来るんだな〜」と思った。

 

ところが、私たちを除く全ての客たちは、ある敷地内に吸い込まれていく。23号線に向かうことなく。

 

「あれ?どういうことだ??」

と思ったら、その敷地は電車の車庫だった。

 

なんと「きんてつ鉄道まつりin塩浜」なるイベントが開催されているではないか!?

彼らはこちらが目当てだったのだ。塩浜駅で下車した客たちは、てっちゃんたちだったのだ。

 

 

23号線に寂しくたどり着いた私たちは、トレーナーを着て大会の旗を持った大学生らしきにいちゃんを除けば、これから1時間以内にランナーが通過する状況にはとても見えない。

 

そのにいちゃんに話を聞くと、

「○時○分くらいに通過する予定ですよ」

と教えてくれる。

 

確かにここはコースなんだ、と安堵するものの、通過予想時刻の30分前、20分前、10分前になっても状況は大きく変わらない。

 

そもそも両側4車線、片側2車線の道路で、ランナーが走る方向の右側車線は普通に車両が通行している。通行止めが行われていないのだ。

 

通行止めはしないし観客は少ないし変だな〜、と思っていたら、

「あ、来た!」

と妻が言う。

 

見ると、左側車線を先導の白バイとトップの東洋大学の選手が走ってこちらに近付いてくるではないか!!

(知らぬ間に左側車線だけ通行止めになっていた)

 

突然現れたランナーに

「がんばれー!」

と声援を送る私。その後も後続のランナーが通過するたびに、拍手と大学名を呼んで声援を送り続ける。

 

やっぱり生で観戦するのはいい。

あっという間に私の目の前を駆け抜けて行くランナーたち。

彼らの「速さ」を体感できる。

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國學院大学のランナーが来たところ

実は以前私が勤務していた会社は、社会人駅伝大会で何度も優勝を誇る強豪チームだ。

職場にも同期にも、本気で優勝を、世界を目指す現役ランナーたちがおり、彼らと話す機会もあった。

 

彼ら言わく、沿道の人も、声も、見えているし聞こえている、とのことだ。

 

だから私たちは熱い声援を送るべきだ。

彼らにエネルギーを、勇気を与えるために。

 

当時は谷口選手に送れなかった声援を大学生ランナーたちに送る。

 

 

とうとう最後のランナーが来たようだ。

 

というのも、彼の後ろにつけている大会運営車から、録音された音声が繰り返し流れていたのだ。

「ただ今、最後のランナーが通過しております。沿道の皆様、暖かい声援、誠にありがとうございました。」

 

 

耳障りな音声をエンドレスで受けながらも歯を食いしばって前に進む彼に、私はやはり熱い声援を送ったのだった。

 

 

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All Japan university ekiden championship

Ep.12

駅伝 Ekiden which is originated in Japan is long distance running relay race.

We Japanese love it, of course including me.

 

All Japan university ekiden championship is held in Aichi and Mie prefecture on the first Sunday of November.

Starting point is 熱田神宮 Atsuta jingu, finishing point is 伊勢神宮 Ise jingu, both area are historical shinto shrine based on Japan’s original religion.

 

4th section is in Yokkaichi and this distance is 11.8km.

I was so excited due to Ekiden was held in my city!

I have never gone to see Ekiden since I was 6-9 years old.

I had no reason not to go to see it.

 

On the race day, I stood alongside running course.

I welcomed and cheered all runners.

 

They passed in front of me one by one.

I enjoyed to feel their speed, so fast!

It was first wonderful memory in this city.