みんなの笑顔が三重(みえ)てくる Jima-t’s diary

「地域性」に光をあて、「違い」を学び、リスペクトし、楽しむというスタンスで四日市や三重の魅力を伝えていきます

歌行灯(うたあんどん)

Ep.171

桑名に本店を持つローカルファミリーレストラン歌行灯(うたあんどん)」。

うどんを中心としたメニューを揃え、和風造りの内装は品があり法事もできそうだ。

 

泉鏡花の小説『歌行灯』に登場する桑名のうどん屋に由来するとのこと。

創業は明治10年(1877年)。今年は実に創業145周年だ。

 

歌行灯 四日市ときわ店

 

三重県内に7店舗を構える。(23年9月現在)

通常店舗ではファミレスの域を出ていない歌行灯はしかし、桑名の本店では様相を異にする。

格式の高い料理屋の趣きである。

 

歌行灯 本店

 

歌行灯の本店の隣は「柿安 料亭本店」。近くには九華公園や六華苑もある(Ep.31参照)。桑名市の最も風情のあるエリアである。

 

 

彼らが取り組むユニークな試みの一つは、未利用魚“オオニベ”の利用だ。

「未利用魚」とは、海の環境の変化により近年三重の定置網漁でかかることが増えてきた、食用として“なじみのない魚”のこと。

スーパーや飲食店でも扱われないため、釣れても捨てられてしまうことがあるという。

 

未利用魚のオオニベ中日新聞 23年6月14日より)

 

そのような未利用魚のメニューがあると聞いて興味を持った。

オオニベが使われている天丼を注文してみると、ふっくらした白身魚が出てきて普通に美味しい。(もちろん、天ぷらという料理技法あってのこと)

 

 

“フードロス”という概念自体は新しいものでも何でもない。

しかし昨今のSDGsに伴い、

社会の啓蒙→人々の意識の高まり→お店&お客双方の具体的なアクション

まで来たということだろうか?

 

もとより人間の食材に対する価値の付け方については不思議に思うことがままある。

形が不細工な野菜が売り物にならなかったり、より色の白いシラスの方が高価だったり。(“反ルッキズム”の考えは近いうちに食材にも適用されることだろう)

 

(株)歌行灯の横井健祐社長(中日新聞 23年6月14日より)

 

大学生になって上京して、初めてしたアルバイトがデパ地下の惣菜屋だった。

そこでは、例えば200円で販売していたコロッケが、極力売り切るために閉店30分前の19:30には半額の100円になり、閉店の20:00には0円になる(売り物でなくなる)、という毎日だった。

売り物でなくなったコロッケはもはやゴミであり、廃棄の対象である。

 

つまり31分前には200円、1分前には100円だったものが、20時00分になった途端に“無価値”となるのだった。(20時を超えての販売は禁止というフロアの厳格なルールがあった)

 

いつも大量の廃棄作業をしながら「もったいないな」とは当然思ったが、それ以上に、とても奇妙に感じたものだった。

 

何しろ例えばコロッケ30個を廃棄することとは、わずか31分前には6,000円の価値に相当したものを捨てているということなのだから。

コロッケ30個が入ったゴミ袋を見て、私は5000円札と1000円札が1枚ずつ入った袋を想像していた。

 

未利用魚の問題も、調理技術と工夫次第で美味しくいただける限り、価値がないなんてことはあり得ず、単に慣習や意識の問題にすぎない。

けれど現行からの延長線上に解決策はないため、だからこそ一歩を踏み出した歌行灯はすばらしい。

 

 

地元を大切に思う老舗の取り組みが、この地域の未来をより良いものにしていく。

 

 

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“Utaandon”, the local Family Restaurant from Kuwana

Ep.171

The local family restaurant, “歌行灯 Utaandon” is from Kuwana city and serves Japanese food like udon and tendon.

Since 2022, they have done the activity, the service with “Non-commercialized fish”.

There are fish that fishermen sometimes catch accidentally, but they are Not able to sell as commercial.

Utaandon made such fish menus, tempura.  They took an action for sustainable future of this region.

 

utaandon.jp

www.chunichi.co.jp