みんなの笑顔が三重(みえ)てくる Jima-t’s diary

「地域性」に光をあて、「違い」を学び、リスペクトし、楽しむというスタンスで四日市や三重の魅力を伝えていきます

伊勢志摩ガストロノミー

Ep.9

「御食国(みけつくに)」

 

と称され、古代より朝廷に神事などに用いる特別な海産物を献上してきたと言われるのが、若狭国淡路国志摩国である。

 

現在においても伊勢市志摩市などのエリアは、海の幸・山の幸に恵まれ、

この圧倒的に豊かな食材に魅了され、感性が刺激され、この地の特色を存分に活かした料理を創造すべく、多くのオーナーシェフたちとフレンチレストランがある。

  

その先駆けは、この地が世界に誇る「志摩観光ホテル」(通称シマカン)の5代目料理長だった、故・高橋忠之シェフだった。

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高橋忠之シェフ (志摩観光ホテル 公式HPより)

高橋さんが提唱した「海の幸フランス料理」は、徹底的に伊勢志摩の食材にこだわるというもので、多くの観光客がシマカンのレストラン目当てでこの地を訪れた。

 

聞いたことはあるけれども実際には食べたことはないかもしれない「伊勢海老のクリームスープ」や「アワビのステーキ」は、高橋さんの着想によるものである。

 

高橋さんは、東京と京都に集中する日本の美食界において、伊勢志摩エリアに特別なプレゼンスを与え、後進に計り知れない影響を与えた。

 

その精神は現在進行形である。

2018年、伊勢志摩エリアのフレンチ・日本料理・バスク料理・寿司・そばなどのシェフたちを中心に「エバーグリーン常葉の会」が結成された。

これはジャンルを超えて、オープンマインドな姿勢を持って、研鑽を積み、この地の食文化を発展させていこうという趣旨だ。

 

このような活動は「美食の街」として知られるバスク州サン・セバスチャン地方をモデルにしたのだろうが、個人的には、さらに遡ることができると思う。

 

それは「フレンチの神様」と言われた故・ジョエル・ロブション氏の精神である。

 

『他の人から得たことは、人に伝えなければならないという義務が私たちにある。知識を伝えることこそ、今日を進歩させているからだ。人間として最も大きな満足感は、知識を伝えるという義務を果たすことから得られる。』

ジョエル・ロブション 著 「ロブション自伝」より

 

このロブション氏が絶賛したのが、高橋忠之シェフの創る料理だった。

 

シマカンは2016年のG7伊勢志摩サミットの舞台となった。

晩餐会を指揮し、この地の誇るべき食材を世界に伝えたのが7代目にあたる現料理長の、樋口宏江シェフである。(NHKの有名ドキュメンタリー番組にも出演された)

 

サミット後、シマカンと樋口シェフは『伊勢志摩ガストロノミー』を掲げ、この地域の食材で構成されるランチ会を開催して毎月大変盛り上がっている。

 

国内外問わず、スターシェフたちは食の啓蒙や教育活動を大変熱心にされているが、シマカンのような組織(ホテル)でこのような取り組みをしているのは珍しいことだと思う。

今でもこの地域の精神的支柱なのだ。

 

「ガストロノミー」の意味するところは広いが、突き詰めると、

 料理を作ってくれた方たちへの感謝の気持ち

 食材の生産者の方たちへの感謝の気持ち

 自然の恵みに対する感謝の気持ち

にいきつくと思う。

  

伊勢志摩エリアにおける「食」の盛り上がりは、今、加速しているところである。

 

 

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Ise-Shima Gastronomy

Ep.9

Ise city and Shima city are located in southern Mie.  It is famous for rich ingredients from sea and mountain.

 

Officials of old Shima province served their distinct sea ingredients for emperor in 7th century.

It was important offering for religious ceremony.

 

Nowadays in Ise-Shima area, there are some wonderful French restaurants.

Rich ingredients in the area give inspiration and passion to cook creative cuisine to lots of chefs.

 

Spiny Lobster, Abalone, Matsusaka beef, Oyster, Escargot..

 

In 2016, G7 Ise-Shima summit was held in Shima Kanko Hotel and their French restaurant served dinner for world’s leaders.

 

Their rich ingredients and cuisine were paid attention again.

 

Following summit’s legacy, various genre of chefs in the area have started “Ise-Shima Gastronomy movement” to develop their food culture.

Their challenge is accelerating.

 

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Spiny lobster

 

usagism2000.theshop.jp

ロブション自伝 (中公文庫BIBLIO)

ロブション自伝 (中公文庫BIBLIO)

 
美食の歓び

美食の歓び