みんなの笑顔が三重(みえ)てくる Jima-t’s diary

「地域性」に光をあて、「違い」を学び、リスペクトし、楽しむというスタンスで四日市や三重の魅力を伝えていきます

式年遷宮のリユース

Ep.109

私が好きな作家、伊東潤さんは2020年、「茶聖」を上梓するにあたり以下のコメントをされていた。

 

戦国時代を扱う歴史小説家は、いつかは千利休に挑まねばならないと思ってきました。

それだけ戦国時代において茶の湯の存在は大きく、信長、秀吉、家康という三代にわたる天下人の政治を陰で動かしてきたと言えるからです

 

 

伊東潤さんと同様に論じるのもおこがましいが、私も一応、このブログ『みんなの笑顔が三重(みえ)てくる』で三重県について書いている。

そうすると「三重県を扱うブロガーは、いつかは伊勢神宮に挑まねばならない」のだろうか?

 

 

しかし私はこれまで、このブログで伊勢神宮について取り上げる気はなかった。

というのも、伊勢神宮とは誰もが知っている日本のナンバーワン観光地。私なんかが何かを紹介する必要もないだろうと。

 

気が変わったのは先日、愛読している雑誌で伊勢神宮に関する興味深い記事が載っていたからだった。

今回はそれを紹介したい。

 

伊勢神宮 内宮の宇治橋

式年遷宮(しきねんせんぐう)」

は20年に一度、社殿を造り変えて神様に新しい宮へ遷ってもらう行事のこと(次回は2033年)。

 

私は当然この行事の存在は知っていたが、

わずか20年で建て替えるとは贅沢だな〜。さすがは日本一の神宮だ

とずっと思っていた。

 

けれどこれは勘違いだった。

伊勢神宮の各々の建物で使われている木材・ヒノキは、式年遷宮による解体後、「リユース」されているのだった。

 

宇治橋の外側(西詰)の鳥居

 

例えば、内宮の宇治橋にかかる鳥居について。

橋の外側(西詰)に立つ鳥居は外宮から、内側(東詰)に立つ鳥居は内宮の建物からリユースされたヒノキでできたものなのだ。

 

さらに20年が経過すると、今度は、西詰のものは桑名市へ、東詰のものは亀山市関宿へと移り、ここでも鳥居として使われる。

 

なぜかというと、桑名は東日本からの伊勢街道の入り口、関宿は関西方面からの伊勢別街道の入り口である。つまりは元々伊勢神宮の建物に使われていた木材は、伊勢神宮へ通じる「玄関」に立つ鳥居へと生まれ変わるのだ。

(なお「餅街道」(Ep.96参照)への入り口でもある)

 

桑名の七里の渡し跡の鳥居

関宿の東追分の鳥居 “関宿”まちなみ・町家暮らし HPより

 

しかも桑名でも関宿でも鳥居を建て替えるときはお祭り。盛大に行われる一大イベントだ。

 

桑名の鳥居の建て替え(2015年) 毎日新聞 HPより

 

伊勢神宮の建物 → 宇治橋の鳥居 → 伊勢街道の玄関口の鳥居

と20年ごとに使用されたヒノキは、その後も地元の神社などに行くらしい。

少なくとも計60年も使用されるのだから、ヒノキとしても幸せかもしれない。

 

なお宇治橋の鳥居に行かなかったヒノキたちも、全国の神社に供給され、そこで使用されているとのことだ。

 

式年遷宮という一大イベントには、資源を大切に扱う、リユースの精神が行き渡っているのだ。

 

日永の追分の鳥居

 

私が暮らす四日市にも式年遷宮とゆかりのある場所がある。日永(ひなが)の追分にある鳥居だ。

追分(おいわけ)とは、「道が左右に分かれている場所」のことで、日永の追分は東海道と伊勢街道の分岐点なのだ。

 

日永の追分

 

上の写真の右手側へ進む道が東海道(関西方面)で、奥側へ進む道が伊勢街道(伊勢神宮方面)。

現在の鳥居は2016年に建て替えられたもので、元々は伊雑宮(いざわのみや)という、志摩市にある内宮の別宮で使われていたヒノキだ。

 

ここでも、伊勢神宮の古材がリユースされていた。

 

 

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“Re-use” Cypress woods & Shikinen-sengu

Ep.109

Shikinen-sengu is the biggest event of Ise-shrine.  It means rebuilt of the shrine in order to make deities move to new home, every 20 years.

Then, these woods from demolished buildings are “reused” for Torii gate or other shrines in the whole of Japan.  And reused wood materials keep using for a long time.

It might be the mind to cherish nature resources.

 

www.isejingu.or.jp

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