みんなの笑顔が三重(みえ)てくる Jima-t’s diary

「地域性」に光をあて、「違い」を学び、リスペクトし、楽しむというスタンスで四日市や三重の魅力を伝えていきます

ラグビー 三重ホンダヒート vs 豊田自動織機シャトルズ愛知 編

Ep.207

豊田自動織機シャトルズ愛知

日本ラグビー界においては主に「2部リーグの上位」にいるイメージのチームである。

今23-24シーズンは、Division2レギュラーシーズン3位、順位決定戦2位でフィニッシュした。

 

つまり三重ホンダヒートが「Division1/2入れ替え戦」で戦う相手である。

 

豊田自動織機シャトルズ愛知 HPより

 

5/18に行われた第1戦は豊田自動織機のホーム、名古屋・パロマ瑞穂ラグビー場であった。

ヒートが57-39で制したこの試合をまずは振り返ろう。

 

No.8パブロ・マテーラ選手(左)、LOフランコ・モスタート選手 三重ホンダヒート HPより

 

この試合、ヒートのNo.8パブロ・マテーラ選手にはシャワーのような称賛を浴びせても、それでも足らない。

このような最重要の試合で、後半途中に退くまで、一人で4トライも獲ってしまうFW第三列の選手を私は過去に知らない。

狂気を感じる信じられないパフォーマンスであり、さながら彼は”地球の裏側から瑞穂の地に降り立った神”であった。

 

敵陣に突っ込むNo.8パブロ・マテーラ選手 三重ホンダヒート HPより

 

それまで私は、マテーラ選手はオープンサイドフランカー型(7番タイプ)の選手(つまりはディフェンス面で強みを出す選手)だなと思っていた。

しかしそれはアルゼンチン代表とインターナショナルレベルでの話だった。

 

この試合では誰よりもゲインする姿があった。ボールを持って、力強く前へ。必ず、確実にブレイクしていた。

アタック面でも、彼こそがベストだった。

 

プレイヤーオブザマッチ 三重ホンダヒート HPより

 

SH北條拓郎選手。前半はスクラムからのキックをチャージ(×2)され、ノッコン(×2)、ダイレクトタッチを繰り返す。

アタックで一番最初にボールを手にするSHがミスするとするならば、そこからは何も生まれ得ない。無である。いや、無であるどころか逆にピンチを招く。

 

前半の北條選手のプレーはひどかった。

何度も何度もミスを繰り返す姿に心の中で舌打ちした私は

「早く竹中選手と替えろよ!」

とイラついていた。

 

(今回は入れ替え戦なので私も観戦に熱がこもっているのだ)

 

SH北條拓郎選手 三重ホンダヒート HPより

 

だが後半、同選手の個人技からいくつかトライに至ったのも事実だ。

挽回したとまでは言わないが前半の失態は少し返上した。

結果的にはフル出場。キアラン・クローリーHCの信頼も厚いようだ。

 

SOオ・グァンテ選手 三重ホンダヒート HPより

 

SOオ・グァンテ選手。この選手はなんてスタイリッシュなのだろう。クールでカッコいい。プレーは絶好調だった。

決定的なラン、安定感抜群のプレースキック、淡々と得点を重ねた。

コンビを組む前述の北條選手の出来がひどかった前半、HB団の崩壊を防ぎ、チームのビルディングを支え、勇気を与え続けたのは彼だ。

 

LOフランコ・モスタート選手。ラインアウトを完全制圧。完璧にマイボール確保した。

FBトム・バンクス選手。最後尾から驚異的なスピードとキレのあるステップ、ラン。

その他、FL古田凌、LO秋山陽路、FL小林亮太、といったFWの中心選手たち(かつ、私のお気に入りの選手たち)も躍動した。

 

相手のキックをキャッチできず派手なファンブルをしてはるか前方に落とす(ノッコン)という高校ラグビー弱小校のFBのようなミスを連発した途中出場SOミッチェル・ハント選手ただ一人を除き、全員が勝利に貢献するプレーだったと言えるだろう。

 

三重ホンダヒート HPより

 

この試合、実は“純粋なFW戦”では相手が上回っていた。ヒートはゴール前のディフェンスで我慢できない。相手FWの力技にことごとく屈したのだ。

これはファンとして意外だったしショッキングだった。

 

私見ではヒートの勝因は下記だった。

 

1. FW&BKの高速アタック(波状攻撃)の成功

2. ラインアウトの制圧

3. BKの決定力

 

豊田自動織機はまず、ヒートの速い球出しと波状攻撃(1)になすすべがなかった。後半も同じようにやられ、つまりは同試合中の対応は不可能のようだった。これはヒート側も強く手応えを感じていたはずだ。

そしてヒートはFWで先述の通りラインアウトを制圧(2)し、BKのアタック(3)という点についてもヒートにアドバンテージがあった。

 

終わってみれば57-39。ヒートは7トライ、57得点。

今シーズン、Division1のチーム相手にこんなにもトライを獲れた試合はないから、実力差があったと言えばそれまでだが、試合展開としては余裕はなかった。

 

三重ホンダヒート HPより

 

第2戦は5/25、ホーム鈴鹿にて。

正真正銘、両チームにとって今シーズン最後にして最重要な試合である。

 

三重ホンダヒート HPより

 

正直に言うと私はこの試合をスタジアムでもJ-Sportsでも観られなかった。

(このブログの筆者はやたらヒートのことを偉そうに語っている割には肝心の試合を観てないじゃないかよと思われるかもしれないが私にも用事があったのだ)

 

なので、結果だけを言ってしまうとヒートは負けた。

15-24で。

が、1勝1敗となったものの第1戦に57-39で勝利したアドバンテージがものを言い、得失点差で上回れたためDivision1残留がなされたのだ。

 

当日、スコア速報をスマホで追っていた身としてはヒヤヒヤだった。

ヒート側はFBトム・バンクス、No.8パブロ・マテーラ(2戦合計で5トライ!!)のトライ2つだけで終わったことを考えると、あらためてカテゴリーC(各国代表経験者。転じてインターナショナルレベル)の選手たちのチームへの貢献の大きさを感じる。

 

第1戦が総じて結果も内容も割と上回れたため「この相手には負けないだろう」と思っていた。

なので第2戦に負けたことには心底驚いたし激しく失望したが、残留というシーズン当初から予想された最低限の目標は達せられたことに安堵したのも事実だ。

 

No.8パブロ・マテーラ選手のトライを祝福する 三重ホンダヒート HPより

 

 

三重ホンダヒートの23-24シーズン

レギュラーシーズンの成績をあらためて振り返ってみよう。

1勝15敗、勝ち点7の11位(全12チーム中)。

得失点差の「-502」というのは壊滅的な数値であり、最下位の花園近鉄ライナーズが「-351」だったことを見ても、断トツにワーストだった。

 

そうなのだ。私は今シーズン、“ヒートが最も勝利できそうな相手”として近鉄の結果を毎試合追っていたが、試合には負けてもスコア上はそう離されはしないのだった。

目を見張るような素晴らしいトライもあった。

対してヒート。特にシーズン序盤は破滅的なスコアで敗れ続けアタックでも特筆すべき点がなし。

 

近鉄との“直接”対決に勝利したからビリは免れたものの、全般的な内容を見ると「最弱」そのものだった。

 

 

来シーズンに向けて

LOフランコ・モスタート、No.8パブロ・マテーラ、FBトム・バンクスの残留は必須として、どのポジションを強化するべきか考えると、“センターライン”に他ならないと考える。

 

CTBは最も苦しかった。固定化できなかったし、絶対的な選手が不在だった。

だからとびっきりの、とにかく、“スーパー”な選手の獲得が必須である。アタックに秀でた破壊力のある選手がいい。

バンディー・アキ(アイルランド)やリーコ・イオアネ(NZ)ような選手が欲しい。(彼らが来てくれないかな..)

 

SHとSOは、シーズン終盤に北條拓郎、オ・グァンテ両選手を固定できたことがチームとして機能した要因であると結果としては言える。来シーズンもこの2人を中心に考えるしかない。その一方で若い2人の成長を加速させる“触媒”としてキャリア終盤の百戦錬磨のベテランが欲しいと思う。田村優(横浜キヤノンイーグルス)が来てくれないかな。

 

HOには今後しばらくチームの中心になり得る若手のスターが欲しい。イメージとしては今シーズン帝京大学(主将)からクボタスピアーズ船橋・東京ベイに入って活躍した江良颯選手のような。

 

最後にNo.8、またはブラインドサイドFL(6番)。マテーラ選手の他にもう1枚、アタックに秀でたFW第三列の選手が欲しいと思うのだ。

 

三重ホンダヒート HPより

 

<最後に>

私としては今シーズン、随分真剣に試合を観たし情報もチェックしたなと思う。日本国内のラグビーをもう20年以上観てきたけれど、こんなにものめり込んだシーズンは記憶にない。

ヒートがDivision1で戦ってくれたおかげだった。

 

鈴鹿開催のゲームは4試合観戦に訪れた。常に負けたけれど、ヒートがトライを獲れたときの嬉しさ、それを他のファンの人とともに祝福できること、それは格別だった。

以前にも記したけれど、ラグビーファンはトライシーンが見たいのだ。それこそがこの競技で最高の瞬間であり、求めているものなのだとよく理解できた。

大差がついても、トライを獲るためにベストを尽くす、ヒートの選手たちの姿が常にあった。

 

自分が暮らす隣の街に三重ホンダヒートがいることを幸せに思う。

来24-25シーズン、強くなった彼らの姿が見られることを楽しみにしている。

 

 

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Rugby Mie Honda HEAT vs Toyota Industries Shuttles Aichi

Ep.207

As Switch Division’s Match of Japan Rugby League ONE in 23-24 season was held.

Mie Honda HEAT fought against Toyota Industries Shuttles Aichi who is a second place team in Division2.

HEAT won 57-39 as 1st match, consequently they could “stay” in Division1 though 15-24 loss as 2nd match.

So, it meant that they achieved “must goal“ in this season and also all of fans must be relieved.

For the next season, we wish that HEAT must make it breakthrough season.

 

http://www.honda-heat.jp/game_result.html?id=292

http://www.honda-heat.jp/game_result.html?id=293

https://sports.toyota-shokki.co.jp/rugby/scheduleresult/2023/20240518_vs_honda.html

https://sports.toyota-shokki.co.jp/rugby/scheduleresult/2023/20240525_vs_honda.html