Ep.147
陳健一さんが亡くなった。
『料理の鉄人』(1993年〜1999年)において”中華の鉄人”をされていた方だ。
東京・日野に住んでいたたとき、立川の駅ビル・グランデュオにある陳さんのお店に行ったことがあった。花椒（ホアジャオ）が効いていて美味しい麻婆豆腐だった。
番組開始から終了まで中華の鉄人を務めた陳さんは、
初代「和の鉄人」道場六三郎さん、二代目「フレンチの鉄人」坂井宏行さんとプライベートでも仲が良く、ゴルフでは「陳さんが鉄人」なのだと、道場さんが自身のyoutubeチャンネルで言っていた矢先だった。
以前にも書いたが、私は数年前にyoutubeで料理の鉄人を全話観てしまった(!?)ほど番組のファンなので、陳さんの活躍はよく知っている。（なのでこのブログで料理を作った回は“料理の鉄人”というカテゴリを設けている）
そこで今回は、私が印象的だった同番組における中華の鉄人・陳健一のエピソード、トップ6を紹介したい。
なぜトップ“6”という中途半端な数字かというと、5つにはまとめきれなかったからだ。
第6位
vs インドラゴリ・パウロ 戦
（1993.10.31_Episode 3、フグ対決、陳さんの勝利）
ハイテンションのイタリア人挑戦者を迎えた記念すべき陳さんの初戦。対戦途中「相手はどんな料理を作ってるんだろ〜」という感じで、横目でジ〜〜、っと挑戦者の様子を窺う陳さんの姿が印象的だった。
この番組は、一流料理人たちが限られた時間内で手際よく料理する、その手さばきや迅速さを見られるところに感嘆と面白さがあるものだった。したがって対戦中に相手の様子を見る時間の余裕などないのだが、番組初期は誰もが、右も左もわからなかったのだ。
第5位
vs 小林カツ代 戦
（1994.8.26_Episode 42、じゃがいも対決、陳さんの敗北）
料理研究家、小林カツ代さんとの一戦。テーマ食材のじゃがいもにおいて、代名詞の肉じゃがを披露するカツ代さん。迎え撃つ陳さんは、じゃがいもを伊勢エビやキャビアとあわせたラグジュアリーな中華サラダを繰り出すも、敗北してしまう。
満面の笑みのカツ代さんと苦笑いの陳さん。
「一流料理人が家庭料理の研究家に負けた」と番組内でセンセーショナルに言われた。（←カツ代さんに対して失礼）
後に、「陳さんは女性挑戦者に弱い」転じて「陳さんは女性に対して優しい」と言われることになるきっかけであり、非常に印象的なエピソードだった。
第4位
vs 脇屋友詞 戦
（1997.3.14_Episode 170、パパイヤ対決、陳さんの敗北）
「日本における中華料理人の頂上決戦」の様相を呈した脇屋友詞さんとの一戦。脇屋さんは2回目の出演で、1回目は番組初期にフレンチの鉄人・坂井さんに敗れている。ついでに言うと2012年にリニューアルされた「アイアンシェフ」では“二代目”の中華の鉄人を務め、陳さんの後任である（さらに言うと番組の外でも日本中国料理協会で陳さんの後の会長）。
ということで今振り返ると豪華な対決だった。パパイヤという少し趣向を凝らしたテーマに対してベストを尽くす両者。結果は、脇屋さんの勝利。試合後、二人は固く握手を交わした。陳さんの笑顔と脇屋さんの謙虚な表情も印象的。
第3位
vs 孫利平 戦
（1996.10.11_Episode 140、フカヒレ対決、陳さんの優勝）
「完全なる料理の鉄人・北京決戦」と銘打たれ、中国四大料理の北京・上海・広東・四川の料理人たちがバトルロイヤルで対決した。陳さんは四川代表で、他の3人は中国国内のシェフだ。
日本から来た仰々しい番組に中国のトップシェフたちもよく出演してくれたな、と思う一方で、彼らに勝利し頂点に立ってしまう陳さんも凄かった。
優勝インタビューにて、対戦相手、および北京の聴衆に中国語で感謝を述べる陳さんの姿がすばらしかった。
第2位
坂井さんと共に陳建民氏のお墓参り
（1996.10.11_Episode 140）
上記、北京決戦が放映された回にて、フレンチの鉄人・坂井さんと2人で父親の陳建民さんのお墓参りをするシーンが描かれる。陳建民さんは日本において中華料理（四川料理）を広め（アレンジして人気にした）、四川飯店を開いた方だ。
四川省の、かなりの奥地まで足を運び、ようやくお墓の前に辿り着いてお花を手向け、合唱する二人。
その陳さん自身も亡くなってしまった今、私はこのシーンを思い出し、坂井さんの痛切を想う。
第1位
vs 坂井宏行 戦
（1999.9.24_Episode 291、オマール海老対決、陳さんの敗北）
番組終了に伴う最終決戦として、中華の鉄人vsフレンチの鉄人が実現した。両者は実は95年の「ミスター・アイアンシェフ決定戦」でも戦っており、このときは鶏肉対決で陳さんが勝っている。
プライベートでも親友の二人。この時期、二人は毎週電話で長話をしていたようだがこの最終決戦を前にして封印。お互いに対戦に集中したとのこと。
番組はオマール海老という、中華でもフレンチでも活かせる食材を選定し、両者のスキル・経験・創造性、すべてを引き出した。
結果は坂井さんの勝利。検討を讃えあう二人の姿は最高だった。
四日市にも陳さんと縁のある場所がある。
「都（みやこ）ホテル 四日市」の中華料理「四川」である。
四日市で一番のホテルにあるこのレストランの料理長、楊真典さんは、四川飯店の池袋店に勤務されていたとのこと。そしてお父さんの楊幸一さんは陳建民さんの愛弟子だったというから、陳健一さんの兄弟弟子と言える。
私は四日市に越してきたばかりの頃、「四川」に行ったことがあった。
最後に、陳さんを追悼する一品を作ることにした。
おかむら豆腐（Ep.144参照）、三重県産ポーク、九鬼産業のごま油（Ep.15参照）、たっぷりの花椒を使った麻婆豆腐である。
できあがった麻婆豆腐は自分がイメージしていたものほど美味しくできなかったものの、“四川×三重”を感じさせる(!?)、陳さんを想うに充分なものになったのだった。
陳健一さんのご冥福を心からお祈りします。
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The Memories of 陳健一 Chen Kenichi
Ep.147
A Chinese cooking chef 陳健一 Chen Kenichi passed away in 11th March 2011.
A legendary TV cooking show "Iron Chef"(1993-1999) made him famous as a "Iron Chef Chinese".
I'm a big fan for that show, so that I can remember the most scenic episodes.
vs 小林カツ代 Kobayashi Katsuyo
（1994.8.26_Episode 42、Potato、Chen lost）
Ms. Kobayashi Katsuyo had been a popular home cooking researcher at that time.
Chen prepared Patato salad with Lobster and Caviar, which means luxury cuisine.
In contrast, Katsuyo opposed her representing cooking "Nikujaga".
As a result, Chen lost! Katsuyo was big smiling. This episode so much impressed us.
vs 脇屋友詞 Wakiya Yuji
（1997.3.14_Episode 170、Papaya、Chen lost）
It was the battle of "The Summit of Chinese cooking chef in Japan". Mr.Wakiya Yuji is a rival and sworn friend for Chen.
Theme ingredient was Papaya, which was not familiar for both.
Eventually Chen lost. Wakiya's very humble and polite attitude was great.
After that, Wakiya became "Second Iron Chef Chinese".
vs 坂井宏行 Sakai Hiroyuki
（1999.9.24_Episode 291、Homard lobster、Chen lost）
The final battle for ending this TV show was realized, 2 great Iron Chefs, Chen and Sakai Hiroyuki, an "Iron Chef French".
Both were also best friend in private and did the best for win each other.
As a result, Sakai defeated Chen in this Chiken battle. Finally, 2 Iron Chefs hugged with each gratitude. It was excellent!
