みんなの笑顔が三重(みえ)てくる Jima-t’s diary

「地域性」に光をあて、「違い」を学び、リスペクトし、楽しむというスタンスで四日市や三重の魅力を伝えていきます

伊勢いも、伊勢たくあん 三重県の伝統食材5、6

Ep.78

「伊勢いも」は県中部の多気町(たきちょう)が原産の「みえの伝統野菜」の一つだ。

長芋の一種とされるが、じゃがいものように丸い形状をしている。ただしサイズは大きい。

 

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今回のテーマは「伊勢いも」

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まずはとろろで食べることを試みたが、長芋のとろろを想像していたので「固さ」に驚いた。

伊勢いもはモッツァレラチーズのように高粘度なのだ(写真だとマッシュポテトのようにも見える)。

 

私は職業柄、このような粘性の高い物質を撹拌する(かき混ぜる)と、そのうち粘性が低くなって(柔らかくなって)扱いやすくなるのではないかという感覚がある。例えばペンキのように。

これは粘弾性とかレオロジーという概念に係ることなのだが、この伊勢いもはどんなにかき混ぜても柔らかくはならなかった。

 

 

1. 伊勢いもと15穀米のとろろかけご飯

とろろかけご飯を試みる。ベルファーム(松阪市)で「15穀米」という古代米を模したものが売られていたため、これの上にかけることとした。伊勢神宮に伝わる「強飯(こわめし)」を創作したもので、玄米や大豆やきびなど15の穀物が入っているらしい。

 

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伊勢いもと15穀米のとろろかけご飯

感想;

濃厚で美味しい。なかなか良いんじゃないか!

長芋のようにとろっとはしてないが、この固くてふわっとした感が食べ応えをもたらしている。

 

 

2. 遠州×伊勢2焼き

とろろと言えば、お好み焼きの具材として使うことがある。

ところで私が2年間暮らした遠州地方(静岡県西部)では、「遠州焼き」というご当地グルメがある。ところが私はこの「遠州焼き」なるものを一度も食べたことがない。

 

そもそも地元民に聞いてもいまいち釈然としなかった。

「たくあんが入ったお好み焼き」

「駄菓子だと思ってた」

という2点のみが、当時私がヒアリングで知り得た情報の全てだった。

要するに彼らは遠州焼きを食べていなかったのだ。

 

「今度の週末、遠州焼き食べに浜松に行こうぜ!」

とはならない。それはあり得ない。うなぎや餃子は、ある。

 

私は自分でも食べたことがない遠州焼きを作ってみることにした。

遠州と伊勢のコラボ料理」という素晴らしい着想だ。

 

これについては、たくあんにもこだわりたかった。

奇遇にも? 三重県には「伊勢たくあん」というやはり伝統的な食材がある。

 

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「伊勢たくあん」

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糠がすごい

 

伊勢市産の大根を使用し、塩・米糠・茄子の葉・唐辛子・蓮台寺柿(Ep.75参照)の皮などで長期間漬ける、という伝統的な製法で作られたものを、現在では「伊勢たくあん」と定義しているらしい。

 

一口食べてみる..

しょっぱい! 味蕾(みらい)が破壊されるんじゃないかと思うほどしょっぱい。

けれども硬くて歯応えがある。ポリポリという音も心地よい。

これが本当のたくあんなのだと思った。考えてみれば、甘味料や着色料はまだしも、保存料も用いていないたくあんを食べたのは初めてかもしれなかった。

 

遠州焼き」のたくあんに「伊勢たくあん」を用いる。

それはもちろん自己満足だが、私は徹底的にやりたかった。

 

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伊勢いもと伊勢たくあん
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実際の遠州焼きに入っているたくあんのサイズは分からないので適当に切るしかない。

伊勢いもは固いのでやはり混ぜるのが大変だった。

 

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遠州×伊勢2焼き

 

そんなわけで「遠州×伊勢2焼き(えんしゅうかけるいせにじょうやき)」が完成したのだった。見た目が洗練されていないが「駄菓子」という認識なので構わないだろうと開き直った。

 

感想;

お好み焼きとしては上手にできた。

他方で驚きだったのは、「伊勢いもと伊勢たくあんは何も変性してない」ということだ。

とろろで食べたときやそのままかじって食べたときと何も変わらず、周囲の具材と調和するでもなく、彼らは彼らとして存在していた。

キャベツは柔らかくなり豚肉には火が通り小麦粉は衣に変わったというのに。

 

ところで私は三重県で2年間暮らして気付いたことがある。

それは伊勢に関連するモノや「伊勢○○」と名が付くモノが持つ、呆れるほどの人気・ブランド力・存在感だ。

何でもかんでも人気になる、国内最高のブランド力なんじゃないかとすら思う。

 

だから今回、お好み焼きの一具材になり得なかった伊勢いもと伊勢たくあんの強烈な存在感に感心し、同時に妙に納得したのだった。

 

 

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伊勢いも Ise potato & 伊勢たくあん Ise takuan the traditional ingredients of Mie, part 5, 6

Ep.78

伊勢いも Ise potato is one of the traditional vegetables of Mie.

I heard that it was like Chinese yam.  So, let’s cook and eat!

 

  1. Ise potato tororo on 15 cereals rice

とろろ Tororo may be the best choice, if it is like Chinese yam.  I tried it on an old style rice of Ise shrine, “15 cereals rice”.

That taste was good.

 

  1. Enshu x Ise2 yaki

Some people use tororo as ingredients for お好み焼き okonomiyaki.

So, I came up with cooking “Enshu yaki” which was okonomiyaki including たくあん takuan and the soul food of Enshu region (west area of Shizuoka prefecture) where I have lived.

Takuan is a definitely key component of it.  Fortunately Mie has traditional 伊勢たくあん  Ise takuan which is made by old-style.  So, I obtained and used.

 

In the result, it was yummy.

But interestingly, Ise potato tororo and Ise takuan were NOT changed.  They were same taste as plain!

 

https://www.hyakugo.co.jp/mie/pdf/subamie_201504_1.pdf

 

www.tnc.ne.jp