Ep.103
私の中で映画「男はつらいよ」の思い出といえば「鎌倉シネマワールド」に行ったことだ。
それはかつて鎌倉市の大船にあった松竹が作ったテーマパークで、今はもうない。改めて調べてみると1995年10月に開演して98年12月に閉園したようだから、あまりにも短い期間の営業だったようだ。
私は母方の祖父母が神奈川の横須賀市に住んでいることもあり、一緒に行ったのだった。小学校4年か5年生だったと思う。
明快に覚えていることは二つある。
一つは寅さんのキーホルダーを買ってもらったこと(これは今も茨城の実家にある)。
二つ目はお化け屋敷みたいなアトラクションがあったことだ。
これは客がヘッドホンを装着して「幽霊が出るバス」みたいなものに乗り、出発すると周囲が真っ暗になり、かつヘッドホンから客を怖がらせるナレーションが聞こえてくる、というものだった。
少し怖くてイヤだった気がする。祖母がニコニコ笑っていたのは覚えている。
菰野町の「湯の山温泉」である。鈴鹿山脈の盟主・御在所岳(Ep.6など参照)のふもとの温泉街だ。
ここは第三作『男はつらいよ フーテンの寅』(1970年)のメインのロケ地なのだ。
このときの撮影の様子の写真などが展示された資料館もある。
実際に『フーテンの寅』を観てみた。言うまでもないがストーリーは圧倒的に面白い。
悪い人ではないんだけど、自分の身近にいるとめんどくさいなぁ。。
という寅さんを渥美清さんが演じている。
妹・さくらの倍賞千恵子さんが呆れるほど可愛いのは今さら驚くまでもないが、さくらの夫・若い前田吟さんがハンサムすぎて絶句する。何しろ52年前!? の映画なのだ。
いやこの作品に関してはそれよりも、旅館の女中というどうでもいい役柄で出演時間もごくわずかながらも主役の渥美清をも凌駕する常軌を逸した存在感を放つ樹木希林さんに呆然とする。
当時27歳の樹木さんは、ドラゴンボールの亀仙人の言葉を借りるなら「ピチピチギャル」そのものであり、眩しく輝いている。
このようにして役者は映画の中で永遠に輝き続ける(永遠に生き続ける)んだな、と実感する。
52年前の出演者たちはとても興味深いが、52年前の風景というのもまた興味深い。
「男はつらいよ」はシリーズを通じたロードムービーとも言えるから、日本各地がロケ地であり、当時の風景や社会というのがどのようなものだったのか、知り得る貴重な資料だと思う。
この『フーテンの寅』で言うと、湯の山温泉にあるバス停や「涙橋」「大石公園」の当時の様子を知ることができる。これ以外にも四日市の海沿いの「磯津」地区もロケ地であり、寅さんが説教するシーンでは、その背後にコンビナート地帯(Ep.20など参照)の煙突から出るフレアスタックも確認できる。とても興味深いのだ。
「湯の山温泉」での湯めぐりも良いけれど、『フーテンの寅』を観た後にロケ地巡り(聖地巡り)をするのも楽しいかもしれない。
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Yunoyama-Onsen (hot springs)
Ep.103
湯の山温泉 Yunoyama-Onsen (Yunoyama hot springs) has been since 8th century! It’s one of the most well-known places in the north of Mie.
We can enjoy going around there, not only as “Hot springs tour”, but also “The movie location tour”.
The reason why Yunoyama-Onsen was the places where Japanese legendary movie series “Tora-san, No.3” (1970) was taken.
Plot and casts were great, and landscapes at that time too. We can know them, 50 years before!