Ep.88
名張(なばり)市にある「赤目四十八滝(あかめしじゅうはちたき)」は伊賀地域を代表する名所だ。
原生林の渓谷で川に沿って整備された遊歩道に従うと、多彩な滝めぐりを楽しむことができる。
深く入り組んだ地形が続くこの場所はその昔、「修験道」の修行者(山伏)たちを受け入れる聖地だったとのこと。
そして修験道が発展したのが「忍者」(忍者のルーツの一つが修験道)。
そんなわけで一部の観光ガイドを見ると「かつて忍者が修行した場所」とのことで、黒装束の男が滝をバックに日本刀を振りかざしている写真もある。
これは創作の影響を受けすぎているように思える。
実際のところ忍者とは刺客(暗殺者)なのだ。剣豪のように一対一で決闘などしなかっただろう。
滝や岩や川がある場所でピョンピョン跳ねながらトレーニングをしていたというのか? それよりも諜報行為を習得しようと励んでいたことだろう。アスリートというより工作員に近かったはずだ。
遊歩道を歩き始めた序盤、私の前を歩いていた年配のご夫婦の会話が聞こえてきた。
「見て! あんな小さいんも『○○滝』やて!」
「あんな小さいんも『滝』やったら、そら四十八以上あるわな!」
その感想には完全に私もagreeだった。
夫婦の前方には、わずかに段差になって水が落ちている箇所があった。
それもれっきとした名前のある『滝』だったのだ。
もちろん、四十八というのは具体的な数ではなく、たくさんあるという意味だ。
なお「赤目」とは、その昔、修行者のもとに赤い目の牛に乗った不動明王が降臨したという伝説から来ているらしい。
遊歩道は続く。これは完全にトレッキングだ。私は革靴で来てしまったことを後悔していた。
最上流の岩窟滝までは入口から3,290mあるのだ。
千葉県の養老渓谷にある遊歩道を思い出したが、スケールも滝の多彩さもこちらの方がずっとすごい。
1時間15分かかってようやく到着した。
在りし日の修行者に思いを馳せる、そんな赤目四十八滝だった。
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赤目四十八滝 Akame 48 waterfalls (Akame-Shijuhachi-taki)
Ep.88
赤目四十八滝 Akame 48 waterfalls is a scenic spot in 名張 Nabari city, the west area of Mie.
Plenty of waterfalls, not only big one, but small one and various shapes of them make an awesome landscape. 48 means “many” in this.
By the way, this spot relates to 忍者 Ninja. One of Ninja’s birthplaces is here, 伊賀 Iga area.
According to some guide books, Ninja trained here with waterfalls, rocks, rivers, forest and mountains. So, this was a training site for them at that time.
Really? In my opinion, Ninja was a spy or an assassin, Not a samurai or an athlete.
Even though Not a fact about Ninja’s training site, this wonderful place attracts lots of people.