Ep.46
三重県から初のJリーグ入りを目指すチームの中で最も近い位置にいるのが「ヴィアティン三重」だ。
同じ県内の鈴鹿ポイントゲッターズ(Ep.40参照)が、ホームスタジアムの整備が間に合わず、まだJ3ライセンスを取得できていないのを尻目に、ヴィアティンは今シーズンのJFLで、簡単に言うと上位2チームに入ると自動的にJ3参入が決定する。
そもそもJリーグに参加するためには実力だけではなく、収益の安定性やスタジアムの整備が求められるが、最も難易度が高いのが「ホーム戦での平均観客動員数2000人以上」という条件かもしれない。
しかし昨2020年シーズンからコロナ禍によりこの条件が撤廃されている。
つまり地元でも知名度や人気の面で苦戦を強いられている県内の2チームにとって、現在、本当に、最大のチャンスがめぐってきているのだ。
ヴィアティン三重は北勢エリアをホームとする総合型スポーツクラブで、バレーやバスケやハンドボールのチームなども持っており、「アルビレックス新潟」のような存在だ。
そしてその中でも中核を担っているのがサッカー男子チームなのだ。
「ヴィアティン」とはオランダ語で「14」を意味し、同国のスーパースター、ヨハン・クライフの背番号に因んでいるようだ。
私は自分が暮らす地域のスポーツチームを応援したいと思っている。
存在自体が尊いと思うし、自分とその土地とを結びつけてくれる。自分の街を愛することにつながるからだ。
4月下旬。私はシーズン開幕からいまひとつ波に乗れないヴィアティン三重を応援すべく、初めて観戦に訪れた。
ホームスタジアムは東員町(とういんちょう)にある「朝日ガスエナジー東員スタジアム(通称:アサスタ)」で、対戦相手は昨シーズンのJFL王者「ヴェルスパ大分」。
まず、スタジアムの外観が凄くかっこいい!
チームカラーのオレンジが抜群に映えている。
加えて立地も良い。
隣には雄大な員弁川(いなべがわ)、背後には養老山地、周囲は田んぼ。大自然の中にあるスタジアムだ。
メインスタンドから真正面に一筋の直線として見えている高架橋は、2026年に完工が予定されている東海環状自動車道で、一足先に開通している大安ICと新四日市JCTを結ぶ区間。
スタジアムの外でも飲食の出店が10店舗くらいあり活気がある。プロスポーツの興行感が出ており、この点は鈴鹿PGより先行している。
Jリーグ入りへ準備万端というところだ。
「ヴィアティーーーーーン、三重ッッッ! ドン・ドン・ドン」
と、数名のサポーターの声とドラムがゴール裏の芝生エリアから聞こえてくる。
感染防止のためか、音頭をとる方たちは遠く離れたところから応援している。
この日の717名の観客のうち、メインスタンドに陣取る大半のヴィアティンサポーターたちが手拍子で応える。
期待が高まる。いよいよゲームが始まる。
キックオフ!
この日は風が非常に強く、両チームともにボールが足元におさまらない。ボールが暴れ回っている感じで、シャッキリしない時間が続く。
風上に向かって蹴るGKのゴールキックも、強烈な風に押し戻されてハーフウェーラインのはるか手前で落下する。
すると前半22分、自陣ゴール目の前という危険な場所にも関わらず、ヴィアティンのDFがボールをクリアしないでもたついていたところ、背後からの相手選手のプレッシャーに焦ったか、GKへのバックパスが失敗してオウンゴールを献上してしまう。唖然とするプレーでスタンドからため息が漏れる。
続く36分、ヴェルスパ大分のコーナーキック。ゴールから逃げる方向のハイボールに後方から勢いよく突っ込んできた相手FWがドンピシャりで頭で合わせると、ミサイルみたいに強烈なヘディングシュートがネットに文字通り突き刺さった。このゴールは完璧だったためしょうがない。
ヴィアティンは前半を終えて2点のビハインドと苦しい展開。
後半。ヴィアティンは引き続き風に苦しむ。
57分。風下の自陣ペナルティエリアに向かってバウンドしながら進むボールが強風により滑るように転がっていく。クリアのタイミングを損ねたヴィアティンDFの背後から狙っていた相手選手が前へ抜け出ると、飛び出してきたGKよりも前に足を伸ばしてボールに触れる。すると無人のゴールに吸い込まれていった。またしてもDFのクリアミスだった。
その後、調子が出てきた昨季王者は、余裕を持ってパスをつないだりドリブルを仕掛けたりと、シュートで完結する場面を何度も作る。
そのままタイムアップ。スコアは0ー3。
「三重からJリーグへ」の合言葉もむなしく、ヴィアティン三重の惨敗だった。
この試合、ヴィアティンの良いところは一つもなかった。
最後まで強風に対応できず、キックの強弱のコントロールを誤るため、ロングレンジのパスはまったく成功しない。なぜ何度も同じミスを繰り返しているのかとスタンドから観ている人間は思ったはずだ。技量が足りないのか。
Jリーグへの道はなかなか厳しいと思わせる試合となってしまった。
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ヴィアティン三重 Veertien Mie (Men’s Football club)
Ep.46
Mie has NO professional football club in J-League.
The closest team is Veertien Mie.
Their hometown is north region of this prefecture including Yokkaichi.
They aim total sports club, so that they have basketball, volleyball, handball team and so on.
V. Mie has already got the license of J3 which meant to owe big home stadium, achieve stable financial administration.
That’s why in this 2021 season, if they will first or second place finish, it promises J-League (J3) participation.
It is the biggest chance for them this year.
On the late April, I went to see their game in the stadium, 東員町 Tohin-cho.
Asa-stadium is surrounded by big river, mountains, rice fields and wonderful nature.
The opponent was Verspah OITA from Oita city, Oita prefecture who was a champion of 2020 season.
This day, it was very strong windy day.
V. Mie was suffering from this.
They could not do control the ball. Trap, long pass, clearing the ball..
Players made such a mistake many times.
0-3 as final score.
V. Mie was defeated completely.
I was disappointed this result and poor performances.
Other supporters also must have felt so.
This let us know, how big challenging way to J-League.