みんなの笑顔が三重(みえ)てくる Jima-t’s diary

「地域性」に光をあて、「違い」を学び、リスペクトし、楽しむというスタンスで四日市や三重の魅力を伝えていきます

鈴鹿のあられ

Ep.44

鈴鹿市の名産は「あられ」である。

スーパーのお菓子コーナーでは鈴鹿のあられが何種類も置かれている。

 

以前、水沢にあるかぶせ茶カフェを訪れたとき(Ep.25参照)、あられにお茶を注いで食べる、という体験をした。

 

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水分(お茶)に浸されたあられなので、ふにゃっ、としている。

牛乳に浸されたコーンフレークの食感と同じだ。噛んでいて心地良くはない。

 

コーンフレークの場合は、栄養が詰まってそう、という理由で納得して食べるが、あられの場合はもち米と油と塩のかたまりがふやけている、という以上の印象を抱かない。

お茶の中にあられを入れて食べる必然性は感じない。

 

店員さんによると、この辺りの地域では昔からそのような食べ方をするのだという。

 

うそでしょ? と思って後日会社の後輩(亀山市出身)に聞いたところ、

「子供の頃、おばあちゃんがあられを入れたお茶漬け作ってくれましたね!」

とのことだ。

 

「おばあちゃんが作ってくれた」と言われると途端に説得力が増すから不思議だ。本当にこの地域で食べられていたんだな。

 

言われてみると、永谷園のお茶漬けのもとに入っている、小さい黄色のやつ。あれはあられではないか?

と思い至る。私たちは普通に食べているのだ。鈴鹿のあられが奇特に感じるのはサイズが大きいからか?

 

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黄色のものは「あられ」 永谷園 HPより

 

いずれにしても、私はこの地域の人たちのあられの食べ方に挑戦してみることにした。

グランマの味を再現しているかは置いておいて、私の解釈でこの料理を再構築しようと試みた。具体的には三重県北部・北勢(ほくせい)地域の名産を集めて、それらを食材としたお茶漬けを作ってみた。

 

食材①:あられ

主役である「あられ」には、鈴鹿が誇る郷土の偉人、大黒屋光太夫Ep.43参照)の名を冠したものを選んだ。

 

食材②:せんべい

あられは良くてせんべいはダメという理由はないはずだ。ちなみに両者の違いとは、もち米でできているか、うるち米でできているかによる。

 

ところで私は黒柳徹子さんが好きなので、黒柳さんが書いた本はだいたい読んでいる。先日、一番最初に書かれたエッセイ(1973年出版)を読み返していたところ、本筋とはまったく関係ないところで、唐突に、黒柳さんの好物として、桑名のせんべい「たがねや」の名前が出てくることに気付いた。

さっそく桑名駅近くのお店を訪れてみた。

 

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おかみさんと思われる方が対応してくれた。

「あの、こちらのお店、黒柳さんのエッセイに出ていました」

「あー!はいはい。トットちゃん! じゃなくて、えーと、あの、ニューヨークに行くやつ...」

「はい。『チャックより愛をこめて』です」

「あぁ、そうでしたよね!」

 

とのことで、おかみさんもご存知のようだった。

黒柳さんは例えば日本橋三越などで「たがねや」のせんべいを入手してファンになったのだろうか?

いずれにせよ、70年代から既に「たがねや」の名声は東京にも轟いていたのだろう。

桑名市三重県が誇る、いやニッポン最高とも言えるこの高級せんべいを、私は食材に使ってみることにした。

 

食材③:たけのこ

桑名市の名産といえばハマグリ(Ep.31参照)だが、これを入れてしまうと主役が持っていかれるため自粛した。代わりとなるのは「たけのこ」だ。というのも、この辺りのスーパーでは桑名産のたけのこが必ず置いてあるのだ。

このたけのこを煮物にして、最後に醤油とかつおぶしを軽く絡めたものを用意した。

 

食材④:しぐれ煮

生姜を含む佃煮のことを「しぐれ煮」と言い、旧・伊勢地方の名産とされる。発祥は桑名市だ。お茶漬けのアクセントとして良さそうだ。今回はあさりのしぐれ煮を使った。

 

食材⑤:お茶

いうまでもなく四日市が誇る「かぶせ茶(伊勢茶)」を使用。

 

その他の食材:だし

このままでは旨みがないと考え、昆布・煮干し・かつおぶしでとっただしを用意。お茶/だし=4/1 としたものをかけることにした。

 

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このようにして完成したのが以下のものだ。

 

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お茶漬け 北勢スペシャ

<食材>

 ・鈴鹿のあられ(鈴鹿市

 ・「たがねや」のせんべい(桑名市

 ・たけのこ(桑名市

 ・しぐれ煮(松阪市

 ・かぶせ茶(四日市市

 

 

というわけで食べてみる。

まず、たけのこと海苔の香りが素晴らしい! 食欲がそそられる。

 

続いて主役のあられ。

 

・・・やはり、ふにゃっとしている。思いっきり吸水しているからだ。

せんべいも同様だった。これではせっかくの「たがねや」の食感と濃厚な醤油味が無になってしまっている。

しぐれ煮はその実力を見せつけてきたが、全体の調和の中では浮いていた。

 

結果、ふやけたあられのインパクトはやはり強く、お茶漬けに入れて食べるという必然性も感じるには至らなかった。

 

 

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あられ Arare

Ep.44

Suzuka city has their specialty, あられ Arare.

Arare is a small piece of salty cracker made from glutinous rice.

 

I heard people of this region eat it as one of the ingredients of 茶漬け Chazuke.

This fact made me upset.  I felt Arare must absorb water(tea).  Where was such comfortable crispy texture??

 

I tried cooking this cuisine.

Not only Arare, but some specialty of north region of Mie (Hokusei area), as ingredients of Chazuke.

Senbei (rice cracker made from non-glutinous rice), Bamboo shoot, Shigureni (Tsukudani with ginger) and Kabuse-cha (Ise-cha).

 

I completed “Chazuke special present from Hokusei area”.

 

Let’s eat it!

Ummm...  Arare and Senbei absorbed tea as expected!

I have to say, this is NO good..

 

チャックより愛をこめて (文春文庫)

チャックより愛をこめて (文春文庫)

 

 

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