みんなの笑顔が三重(みえ)てくる Jima-t’s diary

「地域性」に光をあて、「違い」を学び、リスペクトし、楽しむというスタンスで四日市や三重の魅力を伝えていきます

鈴鹿ポイントゲッターズ

Ep.40

初めてサッカーの試合をスタジアムで観戦したときのことを今でもよく覚えている。

 

1994年の広島アジア競技大会

 

当時私たち家族は広島県に住んでおり、私は小学3年生だった。

アジア競技大会とは総合的なスポーツの大会で、簡単にいうとオリンピックのアジア限定ver.だ。

私たちが観戦しに行った場所は三次市の「みよし運動公園」内のスタジアムで、瀬戸内海や広島市中心部からは遠く離れた山の中にある。

高校長距離・駅伝界の強豪・世羅高校がある世羅町よりもさらに北に位置するといったらわかりやすいだろうか?

 

その前年、Jリーグが華々しく開幕していた。

開幕戦のヴェルディ川崎vs横浜マリノスの試合はリアルタイムでTVで観ていた。

ヴェルディのマイヤー選手が放った強烈なミドルシュートがゴールネットに突き刺さり、これがJリーグで最初のゴールになったことも覚えている。

サッカーという競技を知ったのも、試合を観たのも、このときが初めてだったはずだ。

 

ドーハの悲劇を経て、Jリーグの2シーズン目が開幕して、そして迎えたのが広島アジア競技大会だった。

両親がどうやってチケットを入手したかは分からないが、とにかく私はスタジアムで観戦できることを楽しみにしていた。

 

私たちが観た試合は、

 

第1試合;

中国 vs トルクメニスタン

 

第2試合;

イエメン vs バーレーン

 

だった。

中国以外の3ヵ国は、聞いたこともないし、どこにあるのかも知らなかった。

ただ実際に観戦するとなるとどちらかのチームに肩入れして応援したくなるというもの。だから私は「国名がカッコイイから」という理由で、トルクメニスタンバーレーンを応援することにした。

 

第1試合は内容も結果も覚えていない。

ただ初めてスタジアムで観て、すぐ目の前で試合が行われていること、思ったよりもコートが小さいこと、に驚いていた。要するに強烈な臨場感やリアル感を肌で感じていた。家の中の小さな箱(TVのこと)を通してでは決して分からないことだった。

 

よく覚えているのは第2試合だ。

この試合、バーレーンの3〜4人くらいの男性サポーターたちが、国旗を羽織ってホーンを吹いて歌って踊って、自国の代表チームを熱く応援していた。とにかく賑やかだった。

 

私は彼らの行為を深く懸念していた。

 

なぜなら、これが相手チームのイエメンの選手たちを刺激し(イエメンのサポーターは見た限りいなかった)、彼らが激怒し、両チームの乱闘に発展し、それが本国に伝わり、そしてホンモノの戦争へと発展してしまわないだろうか、と。

 

 

なんでそうなる!? 大袈裟だな〜、と失笑した人がいるとすれば、あなたは間違っている。

なぜなら私はそのときまでに、児童向けのサッカーW杯に関する図書を読んで知っていたからだ。

その昔、中米の国、ホンジュラスエルサルバドルが、北中米カリブ海予選の試合がきっかけで、その後ホンモノの戦争へと発展してしまった例を!(「サッカー戦争」wikipedia参照

 

だから当時9歳の私は本当に恐れていた。

「なんでそんな風に応援するん。戦争になったらどうするん(広島弁)」

 

と心の中で彼らに何度もその応援をやめるよう訴えていた。

この平和を希求する街・ヒロシマから、二度と世界に不幸を発信してはいけない、と。

 

(なお、このときのバーレーンのサポーターたちの応援は一般的なレベルの範囲内だったと言える。その後わかったことだが)

 

この試合後、現在に至るまで両国家は戦火を交えていない。私の心配は杞憂に終わった。

 

 

さて、私はその後、大人になり現在に至るまで、Jリーグ高校サッカーの試合を何度もスタジアムで観戦してきた。

しかしJFL日本フットボールリーグ)は経験がなかった。

 

ここ三重県は、全国で7県しかない「Jリーグ空白県」の一つだが、近年、Jリーグ加入(J3参入)の意思を示し、現実的にあと一歩まで迫っているチームが2つある。

 

ヴィアティン三重桑名市東員町など)

鈴鹿ポイントゲッターズ(鈴鹿市

 

である。

両チームは、アマチュアの最高峰リーグJFLにおける17チームの中の2つであり、上位4チームに与えられる参入資格(実力)だけでなく、収容人数の多いホームスタジアムの整備や、観客動員数のアップをはかって、県内初のJリーグ入りを目指している。

 

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JFL オフィシャルwebサイト より

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2021年シーズンのJFLの17チーム

 

今回私は「鈴鹿ポイントゲッターズ(鈴鹿PG)」の試合を観る機会に恵まれたので紹介したい。

 

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可愛らしい名前のこのクラブチームは、2018年シーズンの東海リーグ(地域リーグ)を制し、その後の全国地域サッカーチャンピオンズリーグで好成績を収めると、翌2019年シーズンからJFLへ参戦している。

 

JFL参戦が彼らよりも2年早く、Jリーグ参入レースでも先行している同じ県内のヴィアティン三重が「兄貴」だとすれば、鈴鹿PGは「弟」といったところだ。

 

しかし近年、この「弟」が急激に実力をつけている。

その最大の理由は、スペイン人女性、ミラグロス・マルティネス監督の就任によるところが大きいと言われている。

 

この優秀な指導者のもと、

JFL参戦元年の2019年を12位で終えると、翌2020年は5位となり、兄貴・ヴィアティン三重(6位)を上回る成績をおさめた。

そして今シーズン。更に飛躍してJFL優勝を目指しているのだ。

 

 

私が観戦したのは第3節、ホームの「AGF鈴鹿陸上競技場」で行われた「東京武蔵野ユナイテッドFC(東京都武蔵野市)」戦だ。

 

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青々とした芝生、ではない。観客席も一方側(メインスタンド側)しかない。

ゴール裏で望遠レンズを覗くカメラマンは4人で、両チームのベンチは運動会で使われるようなテントだ。

この日の観客数321人のうちほぼ全てを占める鈴鹿PGのサポーターたちは、声を出す応援が禁止され、太鼓と手拍子と拍手で応援を送る。

 

良い意味で騒々しくないため、選手たちがボールを蹴るときの

「ドン」

という音がよく聞こえる。GKの味方ディフェンダーへの指示も、審判の声も。

 

 

試合結果を先に述べると、鈴鹿PGが2-0で勝利。完勝だった。

 

鈴鹿PGは、ワントップでフィジカルに強みを持つFWエフライン・リンタロウ選手(7番)が、味方が前線へボールを送るときのターゲットとなり、相手センターバックとの空中戦とフィジカルバトルを優位に進める。チームとしてはパス回しで中盤とアタッキングサードを制圧。

前半終了間際にFW遠藤純輝選手(11番)の3試合連続となるゴールが突き刺さり早くも2点リードとなる。

後半も攻める鈴鹿PG。何度も決定機を作りシュートまでいくが追加点には至らない。

 

サポーターたちは「今のは良い崩しだったな〜」と笑顔であたたかい拍手を送る。余裕だ。

ビハインドの展開だったらイライラするしヤジも飛ぶかもしれない。

 

守ってもGK池松知史選手(30番)が紙一重でセーブを連発。

 

「GKの人、今日はがんばってはるわ」

「この前はアカンかったからな」

 

と、私の前列の夫婦の会話が聞こえてくる。

この試合においては好パフォーマンスを見せたらしい池松選手がマンオブザマッチに該当する「AGF賞」を受賞。ブレンディのスティック1年分を贈呈されていた。

 

まさに

「コーヒーギフトはAGF」

である。

 

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私にとってはミラグロス・マルティネス監督も興味深かった。

常にコートの近くで腕組み、あるいは腰に手をあてて仁王立ちしている姿がカッコイイのだ。険しい顔で激情しているので、最初は鬼軍曹タイプの指揮官かと思った。

 

が、ジェスチャーが大きくスペイン語で早口だからそのように見えただけのようで、

彼女の大声の指示の後、ワンテンポ遅れてベンチから飛び出してくる通訳の方が

「ラインをもっと上げろ!」

などと指示していた。

 

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主審の笛にリアクションをとるマルティネス監督

 

途中、主審から「もう少し静まるように」注意を受けるも、意に介すことなくその後も最前列で選手たちを鼓舞し続けていた。

 

先にも述べたが、このマルティネス監督の就任以降、鈴鹿PGは加速度的に強くなっている。

しかもまだ若い(35歳で私と同い年だった)。

「男子チームにおける女性監督」

という肩書きを抜きにしても、今注目の指導者なのだ。今後は彼女のことも応援していきたいと思った。

 

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ミラグロス・マルティネス監督  鈴鹿ポイントゲッターズ HPより

 

試合終了後、サポーターに挨拶する選手・スタッフたち。

勝利のチャントに合わせてロボットダンスを披露するMF佐藤和馬選手(18番)。

 

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選手・スタッフ・サポーター

みんな本当に嬉しそうだ。勝利はみんなをハッピーにする。

スポーツにおいて試合とは、観客といっしょに作り上げるものだな、とあらためて思った。

 

 

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Suzuka points getters

Ep.40

Mie has NO top professional football club, NO participants for J league.

On the other hand, they have 2 clubs of top amateur football league, JFL.

 

ヴィアティン三重 Veertien Mie  (Kuwana city)

鈴鹿ポイントゲッターズ Suzuka point getters  (Suzuka city)

 

Both two clubs aim to participate J league.

To get its license, not only good result of the season, but also have big home stadium, a lot of audience, good financial administration, and so on..

As you know, it’s not easy.

 

In this episode, I introduce Suzuka point getters.

 

In 2018 season, they became the champion of Tokai region league which was lower category and stepped for JFL next season.

At the same time, they invited a new head coach, Spanish woman, Milagros Martínez.

She was an energetic, passionate and good coach.

 

12th in 2019 season, 5th in 2020 season, they were getting stronger step by step.

And this 2021 season, their purpose is to be a champion of JFL.  And final destination is definitely to get the license for J league.

 

Recently I went to see the game, Suzuka point getters vs Tokyo Musashino united FC in AGF Suzuka stadium.

 

A stadium was tiny one, glass was rough and not green.  Audience was only 321.

It was not brightness compared to J league.

 

But no doubt we could feel their passion for the victory.

Supporters cheered them by handclap with a drum.

 

Suzuka PG won this game, 2-0.  It was completely victory.

 

After winning the game, players and coaches thanked to their supporters.

In front of them, one of a player did robot dance with victory’s chant.

 

A victory made players, coaches and supporters happy.

It was the greatest moment for us, for all.

 

 

鈴鹿ポイントゲッターズ HP

https://suzuka-un.co.jp/player_list/

 

www.jfl.or.jp