みんなの笑顔が三重(みえ)てくる Jima-t’s diary

「地域性」に光をあて、「違い」を学び、リスペクトし、楽しむというスタンスで四日市や三重の魅力を伝えていきます

全日本大学駅伝 2022

Ep.127

日市の「四」に区の「四」の意味を新たに加えても良いのではいか?

 

全日本大学駅伝についての話だ。

(Ep.121474参照)

 

 

私はこれまでに二度、この駅伝の4区を沿道で観戦してきたが、昨年、東京の友人(私よりも大学長距離界に詳しい)から

なんで7区見ないの?(なんで田澤見ないの?) 急げば間に合うよ

と(根拠もなく)言われたのがずっと心に引っかかっていた。

 

 

それで思い出したのが、学部生の頃、ウェルネスの授業で先生が話していたことだった。

その先生はその週末、旧・東京国際女子マラソンに出場する高橋尚子を観に行くとのことだった。

「○○で観戦して、そのあと山手線に乗って□□駅で降りて、△△で観戦して・・・」

という計画で、計3回もQちゃんを観るのだと言っていた。

(なぜそんな雑談を覚えているのか? と思うかもしれないが、なぜか印象に残る些細なエピソードというのは人生においてある)

 

そんなことが可能なのか!?

と当時の私は直感的には驚いたが、ただよく考えると東京都心を舞台にした折り返しコースで、山手線という特異な手段を用いればできるものなんだな、とも思い直した。

 

ちなみにその大会とは、高橋尚子が下馬票を覆して感動的な復活優勝を遂げた(かつ結果的に最後の輝きとなった)2005年大会の話である。

 

高橋尚子選手 時事ドットコムより

 

翻って全日本大学駅伝ではどうか?

熱田神宮から伊勢神宮へ向かって国道23号線(通称「にーさん」)を走る“ワンウェイコース”であるが、並行して走るのは近鉄・JR・伊勢鉄道である。

これらを駆使すれば、全日本でも「2回」観戦できるんじゃないか? 私は計画を練った。

 

 

観戦後、すぐに電車に乗って次のポイントに移動するためには駅の近くが好ましい。

という訳で第1の観戦場所はJR四日市駅近くの交差点に決めた。

 

ランナーの通過予定時刻30分前に着くと、人はまだらだった。

 

 

地元の理容室「ヘアーサロン青山」のご主人が

「(私のお店の前の)花壇の中にマンホールがあるからそこを足場にしていいよ。その方が近くで観れるでしょ」

と勧めてくれた。

 

なんて優しいんだ!

お言葉に甘えてベストポジションを確保する。

 

9時43分、最初のランナーがやって来た。

駒澤大学の山川拓馬選手(1年)だ。

目の前を通り過ぎる彼に拍手で応援する。

 

 

快晴の下、その後も続々とやってくるランナーたち。

今大会は主催者から声を出しての応援は控えるよう言われていたのだが、みなさん結構声出ししていた。

 

9時53分頃に最終ランナーの観戦を終えた私は、700m離れたJR四日市駅へ急いだ。

10時9分の快速みえに乗るためだ。

 

フェリー乗り場ではなくJR四日市駅

 

相変わらず寂しい佇まいのJR四日市駅Ep.7参照)。

考えてみると、私がこの駅を利用するのは2008年、青春18きっぷの旅をしていたあの時以来だと気付く(Ep.0参照)。

 

なんて懐かしいんだ。当時の私にとっては旅で訪れた地方都市の一つに過ぎなかったこの街が、今では居住地になっているのだ。

改めて、14年という月日に思いを馳せて、、いる場合ではなくさっさとホームへ急ぐ。

 

 

無事に快速みえに乗った私はランナーを追い越し、再び待ち構えて2回目を観ようというわけだ。

驚くべきことに、私と同じように4区の観戦から快速みえに乗った人は他にも20人くらいいた!? みなさん、同じことを考えてたんだね。

 

車中、大学生と思われる若い男性・女性はみな、駅伝ファンだった。

スマホでリアルタイムのネット中継を観ていたり、速報サイトを見ていたり。

 

「田澤にはムリだろうけど近藤には勝って欲しい」

「馬鹿っ。中央学院に抜かれんじゃねーよ」

 

などと声が聞こえてくる。

みんな、アツいね!

 

 

大半の駅伝ファンの乗客は津で下車した。つまりは6区を観るということか。

私はここから各駅停車に乗り換え、さらに南下する。

なぜか? もちろん田澤廉を観るためだ。

下車するのは高茶屋駅。田んぼの中にあり、普段は無人駅だ。

 

高茶屋駅となりの老舗和菓子屋「正和堂」のみたらし団子は注文を受けてから焼く

 

ここから駅伝コースの23号線まで約1kmを歩いて向かう。

高茶屋駅で下車した駅伝ファンは私の他にもいたが、みなさん私とは別の方向に歩き出した。

7区の中継点で観るのだろうか?

 

 

あらかじめ計画していた7区の観戦ポイントに、ランナー通過予定時刻30分前に到着。

見通しの良い直線。人も多くなく穴場かもしれない。

 

 

監督車が通り過ぎる。本日見るのは2回目だ。

青学の原監督は俯きスマホを見ており、駒大の大八木監督は口を手で隠してスマホで話していた。

トップのランナーがやって来た。もちろん、駒澤大学である。田澤廉(4年)である。

 

 

これぞまさに独走。

2位以下をぶっちぎりで離し、日本人学生長距離史上最強ランナーが走り去って行った。

 

 

最終ランナーの通過を待って今大会の私の沿道での観戦は終わった。

私は駒澤大学のファンなのですこぶる上機嫌だった。

 

田澤廉選手 月間陸上競技 HPより

 

大会前、田澤は7区を走るのか8区なのか。優勝を狙う他チームの監督たちは思案しただろうが、おそらく7区と思ったはずだ。

だから今大会の7区は田澤とのタイム差を最小限に抑えるべく、近藤幸太郎(青学大)、フィリップ・ムルワ(創価大)、平林清澄(國學院大)というエースが集結した。

 

ただ終わってみれば田澤が従来の区間記録を43秒更新して区間賞を獲得。2位に2分半近くの差をつけてアンカー8区に襷を渡した。

自身の絶大な実力をもって他校のエースを呼び寄せ、潰した。

彼にしかできないことだった。

 

日刊スポーツより

 

田澤の真に驚くべきは、とどまるところを知らない成長にある。

2年次に全日本のアンカーとして東海大を逆転して駒大に6年ぶりのタイトルをもたらし、3年次はトラックの10000mで日本選手権2位となり、日本歴代2位の記録も樹立。4年生になった今年は日本代表としてオレゴン世界陸上に出場。

 

学年を経るごとに、より速くより強く、実力と実績を積み増している。

世代のトップ選手として駒大に入学しながら、成長という点でも田澤が一番なのだ。

 

月間陸上競技 HPより

 

今でこそ鬼の強さで幾度目かの黄金時代に突入した駒澤大学だが、田澤入学前の2018年以前は様相を異にしていた。

中村匠吾(Ep.42参照)、村山謙太という強力な世代が卒業したのち、2015年から2019年にかけての丸5年間で大学駅伝の優勝はゼロ。

1997年の出雲での大学駅伝初優勝以来、コンスタントにタイトルを獲得してきた大八木監督と駒大にとって、それは紛れもなく暗黒時代と言えた。

 

スター選手も出ないしチーム全体の力もない。

颯爽と登場した青山学院大学が時代を謳歌し、対抗馬は東海大学東洋大学だった。

戦国時代とも言える昨今の大学長距離界で、早稲田大学山梨学院大学中央大学順天堂大学日本体育大学といった名門校・強豪校たちはすでに優勝戦線から遥か後方に退いてシード権争いへ。

駒大も、彼らと同じところまで落ちても何も不思議ではなかった。

 

大八木弘明監督 毎日新聞 HPより

 

そんな駒大にとって復活のキーマンが田澤だった。

いや“キーマン”というよりも“全て”と言っていい。

次元の異なる実力を持つこの男が入学して以来、大八木監督は勝利への強い情熱を取り戻し、在学メンバーの実力が底上げされ、田澤に憧れた下の世代の有力ランナーたちも入学。

正のスパイラルを誘起し、強大な戦力を整備して再び大学長距離界の最前線に帰還した。

 

ただ戻ってきたわけではなく、過去の自らやライバルの青学をも遥かに上回る強さとなって戻ってきた。

 

読売新聞 HPより

 

8区は昨年に続き花尾恭輔(3年)。大八木監督が自信を持っているランナーだ。

終始一人旅で悠々と走っていたように見えたが区間賞を獲得。歴史あるこの区間で日本人歴代4位の好記録だった。

 

駒大の全日本のアンカー8区といえば、私にとっては深津卓也(2006〜2009)、窪田忍(2010〜2013)が思い浮かぶ。特に窪田は田澤の入学前まで駒澤史上最強ランナーだった。

 

窪田忍選手(2013年) 朝日新聞 HPより

 

2年次は柏原竜二東洋大)の魂の追走を振り切り、3年次は服部勇馬(東洋大)を大逆転し。ドラマチックな思い出を残してくれた窪田は3年連続で優勝のゴールテープを切った。

 

ふと思い立って当時の窪田の記録を調べると、今回の花尾の方が上回っているじゃないか。厚底シューズの恩恵を差し引いても、これには驚く。

チームの2番手でも窪田に匹敵する。来年、花尾がみたび8区に出走し、自身3度目の優勝のゴールテープを着ることがあれば、窪田を超えたと言えるかもしれない。

 

田澤にトップで襷をつなげた6区の安原太陽(3年)も快走した。

 

安原太陽選手 月間陸上競技 HPより

 

昨シーズン、駒大が箱根駅伝2022で優勝できなかった原因は花尾と安原にあった。

2区で田澤がトップで襷を持ってくることが確定的となり、TV中継で3区で待機する安原が映し出された際、その尋常じゃなく強張った表情に不安を覚えた駒大ファンは多かったはず。

 

案の定、安原はリードを守れず青学大と東京国際大に逆転されて2分離され、4区の花尾もずるずる引き離されてしまい青学大と3分差。この3、4区でそれぞれ区間17位、区間9位と沈んだことで、駒大の優勝は困難になった。

けれども二人を責めることはできない。なぜなら昨年の全日本で駒大が優勝できたのは(田澤は別として)この二人のおかげだからだ。

 

そんな安原が今回の全日本の6区で区間4位の好走。

だが注目すべきは、前を追いかける好条件の展開で出した昨年の自身の記録よりも、トップでもらって終始単独走だった今年の記録の方が良かったことにある。

彼もまた、この一年で確実に成長していたのだ。

 

ゴールテープを切る花尾恭輔選手 日刊スポーツ HPより

 

最後は花尾が2位國學院大に3分半近くの差をつけてフィニッシュ。終わってみると駒澤大学の圧勝で、駒大と下々の物たちの争い、という様相だった。

 

「今シーズンの駒澤大学は史上最強」という評価は間違っていない。

2022年の全日本大学駅伝はこうして幕を閉じた。

 

 

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All Japan University Ekiden Championship 2022

Ep.127

All Japan University Ekiden Championship was held from Nagoya to Ise-jingu shrine, way to Yokkaichi, so long 106.8km.

In this year, I came up with watching the race "twice"!

 

The 1st location was nearby JR Yokkaichi station as the 4th section.  As soon as after seeing, I chased and passed runners with train.

Thus, I realized to watch at 2nd location, Tsu city as 7th section.

This plan made us have a wonderful time.

 

In this year’s race, my favorite team, Komazawa university won, third straight victory!

They must be the best team ever in university ekiden.

 

マコモタケ 三重県の伝統食材12

Ep.126

菰野こもの)町」の由来はその昔、真菰(まこも)の野原だったことに由来するらしい。

 

真菰(まこも) 旬の食材百科 HPより

 

真菰の根元にできる肥大した茎の部分をマコモタケマコモダケ)と言い、これは食用である。

 

 

マコモタケは「みえの伝統野菜」(Ep.117など参照)には含まれないが、菰野町では町名にちなむこの野菜を町をあげて栽培・普及に取り組んでいる。

 

10月上旬、マコモタケが「道の駅 菰野」の店頭に並んでいた。

店員さんに伺うと、例年1ヶ月程度しか販売されないらしい。

 

 

手で外葉を剥いた後、薄皮はピーラーで剥いたら白い身が出てきた。

これを適当なサイズにカットして調理するという訳だった。

 

 

1. マコモタケのサラダ

生でも食べられるということで、まずはサラダにしてみる。

マコモタケのサラダ

感想;

見た目はエリンギみたいな乳白色で美しい。食感はふにゃっとしていて特別味を感じるわけではなかった。

 

 

2. マコモタケの天ぷら

チャーハンや肉野菜炒めにするのは容易だが炒めてしまうと特長がよく分からなくなってしまいそう。素材そのものの味を感じられ、かつ美味しくいただけるだろう天ぷらを試みる。

マコモタケの天ぷら

感想;

表面(皮)はやや硬く、スジが強い。ちょっとヤングコーンみたいだ。中の白い部分は甘みがあって美味しい。できたてはホクホクだ。けっこう美味しい。天ぷらにして正解だった。ほんのりと感じる甘みが特長のようだ。

 

3. マコモタケのグラタン

天ぷらにしたことで確認できた「ほのかな甘み×ホクホク感」という一面をより引き出すべく、グラタンを試みる。

マコモタケのグラタン

感想;

我ながらグラタン自体は非常に上手にできたため、マコモタケにも期待がもたれた。

が、相変わらずスジ張っており、太くて硬いアスパラガスみたいだ。しかもホクホクではなく甘みを感じるわけでもなく、予想が外れた。

マコモタケはオーブンでただ焼くだけでは調理法として不足していた感がある。蒸すなり茹でるなり下処理してからの方が良さそう。

 

マコモタケの特長を最大級に活かせる一品を用意するためには、もうひと工夫必要そうだ。

 

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マコモタケ Makomotake the traditional ingredients of Mie, part 12

Ep.126

Makomo is the symbolic plant for Komono city.  This kind of Poaceae, Makomo was flourished in old days, therefore people referred it in their land.

Makomotake is a part of stem and edible.  Autumn is the season of them.

 

1.  Makomotake Salad

It’ able to try it as “raw”.  This beautiful milky-white vegetable was soft as texture, but NOT any strong taste.

 

2.  Makomotake Tempura

Tempura, it seems to be the best method, if we’d like to get both “Non cooking taste” of a ingredient and yummy.

Surface skin was hard like a young corn, but white one into it was pale-sweet.  This taste must be a characteristic.

 

3.  Makomotake Gratin

I intended to improve “crispy” texture and pale-sweet taste.  But it was hard and Non-sweet in Gratin.  It seemed that boiled or steamed or any pre-cooking was needed.

 

I have to train and make an effort about Makomotake for cooking delicious cuisines.

 

www.komono.org

foodslink.jp

en.wikipedia.org

 

地域のお花畑

Ep.125

「地域のお花畑」

というのが地方には増えていると思う。

 

それは市民団体や農家の方が本業の傍らで提供してくれるもので、花が見頃を迎えると開放され、市民は無料で楽しむことができる。

 

コスモス(菰野町田光:10月上旬)

 

『○○の花が見頃を迎えています』

というニュースは、実は新聞の地方欄や地方紙(Ep.35参照)でよく載っている。

けれど最近はインスタの効果が大きく、これで知って訪れる人が多そうだ。

 

 

ひまわり(四日市市上海老町 マルホ農園:6月中旬)

 

花の集客力はすごい(Ep.3250参照)。地域のお花畑も大人気で混雑しているときがある。

 

 

ハス(亀山市辺法寺町 穴虫の郷:7月中旬

 

心にゆとりがなければお花を愛でようとも見に行こうともならないが、そもそも心にゆとりがある人でなければ無償で何ヵ月もかけてお花畑を準備したり整備したり、たくさんの人に見てもらおうとはならない。

 

私たちは彼らのおかげでお花畑を楽しむことができ、季節の移ろいを感じることができ、幸せな気持ちになれている。

 

 

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Local flower garden

Ep.125

Sometimes we can see “local flower garden”.  It’s acceptable for everyone for free!

Citizen groups or some farmers prepare and serve it as their sub-job.

 

Cosmea, Sunflower, Lotus flower and so on..

Thanks to them, we can feel so nice in each season, every time.

 

www.kankomie.or.jp

www.kankomie.or.jp

www.kankomie.or.jp

 

F1日本グランプリ in 鈴鹿 2022

Ep.124

モータースポーツ界のヒエラルキー頂点「F1(フォーミュラーワン)」

今年2022年は、3年ぶりに鈴鹿サーキットで開催された(2022年F1第18戦 日本グランプリ)。

 

ミハエル・シューマッハフェラーリ時代) Octane HP より

 

私はF1に明るくないが、学部生だった2005年〜2008年頃はフジテレビの深夜に放送されていたテレビ放送をたまに見ていた。

 

時、まさに赤い皇帝ミハエル・シューマッハ(ドイツ)にフェルナンド・アロンソ(スペイン)が引導を渡そうとしていた。

キミ・ライコネンフィンランド)、ジェンソン・バトン(イギリス)、フェリペ・マッサ(ブラジル)といった多士済々なドライバーたちがいて、日本からは佐藤琢磨が参戦し、そしてちょうど、ルイス・ハミルトン(イギリス)が出てきた、そういう時代だった。

 

フェルナンド・アロンソ 21年からF1復帰のLiving Legend DAZN HP より

 

そんな私のF1の知識は15年前当時からほぼ更新されておらず。

それでもさすがに耳に入ってきた新たなF1ドライバーとしては、マックス・フェルスタッペン(オランダ)と角田裕毅くらいだった。

 

 

鈴鹿サーキットは角田推しだ。何しろ鈴鹿のレーシングスクール育ちなのだ。

18歳で日本チャンピオンになり、その後海外のレースに参戦して勝利し、20歳でF1ドライバーになってしまった。

F1ドライバーは世界で20人しかなれない。2000年代生まれの世界で初めてのF1ドライバーだ。圧倒的な才能で、日本や世界のF1ドライバーの座を狙う少し上の世代の選手たちを一気に追い抜いてしまった。

 

ほとばしる負けん気の強さが好きだ。

入賞直前にマシントラブルでリタイヤを余儀なくされた際はチームスタッフに不満をぶちまけ、オーバーテイクされる際にマシンをぶつけられて無念のリタイアとなったらそのドライバーを非難する。

これまでの日本人F1ドライバーたちとは少し違う。

 

鈴鹿サーキットは世界で一番走り込んだコース」

鈴鹿は何千、何万回も走った」

 

レースを前にして超自信満々のコメントをする角田選手。

3年ぶりの日本グランプリ開催へ。ファンの期待は沸騰していた。

 

 

10/9(日)に決勝が行われるF1日本グランプリを、当然私は鈴鹿サーキットで観戦しようとしていた。

Super GTEp.106参照)→ 鈴鹿8耐Ep.121参照)と来て、最後をF1日本グランプリで締めくくることで「鈴鹿サーキット3部作」を完結させようという思惑だった。

 

 

ところがその計画は、チケットの料金表を見たときに崩れることとなった。

ホームストレート前の席(メイン席)は最も安くて6万6千円から。Super GT8耐で私が観戦したシケイン前の席(そのときは9千円)でも5万円近くということで、これでは全く手が出せない!

 

私はこれまであらゆる種類のスポーツを現地で観戦してきたが、ここまで高額な観戦料金を要される競技を知らないし、他と比較するまでもなくぶっちぎりだ。プロ野球Jリーグの試合でもこの20分の1の価格なのだから。

F1のチケットというのは、本当に高価だ!

 

ルイス・ハミルトン F1-Gate.com HP より

 

F1ともなるとコース上で見られるスポンサーも世界的企業となるようだ。

前述のシケインも、Super GT8耐時は「日立Astemoシケイン」というネーミングライツが与えられて「HITACHI・Astemo」と誇らしく映えていたのに、F1では「PIRELLI」(ピレリ)という、現在F1で独占的にタイヤを供給しているイタリアメーカーのものになっていた。

コース上の他の箇所では「ROLEX」や「DHL」が確認できる。

 

日立Astemoシケイン鈴鹿8耐時)

 

F1は「カースポーツという競技上の最高峰大会」であるだけでなく、主催者が徹底的にハイブランド化・高付加価値化させているのだと思う。これによって主催者は莫大な収入を得ているはずだ。(カースポーツの発祥は欧州。ルール作りやイメージ戦略に長けているのが欧州)

 

以前から「F1ドライバーの年収はなぜあんなに高いのか?」と不思議に思っていたが、その理由の一端が見えた気がした。

 

私はカースポーツ好きの職場の後輩が言っていたことを思い出していた。

F1ってのは富豪の遊びなんすよ

 

マックス・フェルスタッペン motorsports.com HP より

 

そんな訳で現地での観戦は叶わず、TV観戦(有料のフジテレビネクストと急遽契約)となった。

 

決勝では悪天候の中でスタートするもすぐに中断。

ドライバー視点の映像では前方のマシンの水しぶきが強すぎ、赤く点滅するテールランプしか見えてない。確かにこれでは続行は不可能だ。

降り続ける雨の中でも観客席に空きは見えなかった。彼らも5万円以上は払っているはずなので、雨だから観に行かない、という選択はやはりないようだ。

雨で中断中、角田は観客の前に姿を見せて手を振り、アロンソチームスタッフとカードゲームに興じ、皆それぞれ再開を待つ。

 

結局2時間以上の中断の後、再開。所定の53周ではなく実質小一時間のみのレースとなり、フェルスタッペンがポールトゥウィンを果たす。角田は13位で終えた。

 

フェルスタッペンはこのレースで今シーズンの総合優勝を決めた。

 

GQ HPより

 

TV中継を最初から最後まで真剣に観ると楽しい。

オーバーテイクの様子、ドライバーとチームスタッフとの無線でのやりとり(時に感情を爆発させる)、ピットストップ時の作業者一人ひとりのきびきびした動き。

 

F1ファンはシーズン開幕時からずっとこれらを観てきて、ついに自分の国に大会がやってきたときの高揚感と、それゆえにチケットが高額であっても是が非でも観に行きたいという思いの強さは容易に想像できた。

そのような根っからの世界中のファンが、F1を支えているのだと思った。

 

 

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F1 Japan Grand Prix in the Suzuka circuit 2022

Ep.124

F1 Japan GP has held in the Suzuka circuit since 2019.  I had a plan to see it, but I had to give up due to expensive ticket!

Even though changing TV watching, I enjoyed it.

 

It was rainy day at final race day, so the condition was bad, including 2hours suspended.

As a result, M. Verstappen won and same as be a season champion!  Y. Tsunoda finished 13th in his first race of his country.

 

www.youtube.com

news.yahoo.co.jp

 

美しき県庁所在地・津 津ぎょうざ編

Ep.123

津市のご当地グルメ「津ぎょうざ」は学校給食が発祥らしい。

 

一般的な餃子だと子ども一人あたり5コ程度が必要。これでは作り手が大変だから、ジャンボサイズの餃子1コ(なおかつ「揚げ」餃子)にしてしまったとのこと。

なんて合理的な話だろう。

 

ぐるなび HPより

 

津市の観光協会では地域おこしにこれを公式なご当地グルメに制定。

定義は直径15cmの皮を使用することと、油で揚げること、という2点。

現在では市内のいくつかの飲食店で食べることができる。

 

氷花餃子 津新町店の津ぎょうざ

いたろうの津ぎょうざ(テイクアウト)

 

うなぎ(Ep.58参照)ほどではないにせよ、津ぎょうざを目当てで津に来る人もいることだろう。

 

津ぎょうざのキャラクター「つつみん」 おぼろタオル HPより

 

津ぎょうざを作ってみよう

まずは餃子の皮を入手するところから。

 

が、定義にもあるような直径15cmもの特大サイズの餃子の皮というのは、いつも利用するスーパーでは見つからなかった。

 

私は以前、中国人の友人から「餃子は皮から作らないとダメだ」と言われたのをずっと心に留めていた。だから今回、その時が来たのだった。

 

 

強力粉と薄力粉を混合した後、こね棒で薄く伸ばしていく。

これは初めての経験だったが「真円」にするのがとても難しい。

綺麗にやろうとすると時間がかかりそうだったため、最も短い対角線上の点同士を結ぶ距離が15cm以上だったらOK、ということとした。

 

具は豚ひき肉、キャベツなど

 

具を自製した皮で包んでいく。どれくらいの量を載せるのが適しているか分からないので、これはもう肌感覚である。

 

 

包む作業をし終えたとき、「これはもう失敗だ」と確信した。

餃子の皮が具から滲み出た油や肉汁に耐えきれず破れてしまっている。

皮の「厚み」と載せる具の量。これがキーポイントだったようだ。

 

津ぎょうざ

 

油で揚げると更に悲惨なことに。皮の破れが拡大して穴が開き具が飛び出る。

ヴィジュアルも美しくない..

その巨大なサイズと併せてバケモノのような餃子になったのだった。

 

浜松餃子のごとく、中央にもやしを載せて盛り付けてみた。サイズが大きいため1皿に4コしか並べられない。

 

肝心の味は?? というわけで食べてみると、皮が美味しい!

 

これは非常に意外だったのだが、甘みがあっておやつのようだ。強力粉は製パン用に買い冷蔵庫にあったものを用いたが、これが適していたのだろうか。

具も問題なく美味しかった。(というかまあ餃子は不味くはなり得ないだろうが..)

 

 

お店で出てくるような見た目が「美しい」津ぎょうざというのは、皮の厚みと包む具の量の関係に高度な技術が積み込まれていたのだ。

 

 

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津 Tsu, How beautiful this city is!  “Tsu-Gyoza (dumpling)”

Ep.123

Tsu-Gyoza (dumpling)” is one of the regional cuisine of Tsu city.  It’s a giant fried Gyoza (Chinese dumpling) and has begun first time in the city’s school lunch since around 1985.

 

If you try to cook it, it might be hard to make dumpling skin and adjust their thickness due to so much quantity of ingredients!

But about the taste, it must be the wonderful one!

 

www.tsugyoza.net

 

大四日市まつり

Ep.122

夏は祭りの季節だ

 

私の実家があるつくば市の地区でも、お祭りが7月に開かれていた。

はっぴを着てみこしを担いだり山車をひいたり。小学生は楽器の担当者で、5年生で小太鼓、6年生で大太鼓を叩いた。お囃子会に所属する大人たちは「鐘」と横笛を鳴らしていた。

 

摺鉦(すりがね)や当たり鉦(あたりがね)と呼ぶらしい 宮本卯之助商店 HPより

 

けれど実質的に参加が必須の小学生と実行の主体である大人たち(年配の人たち)以外に、誰もが参加するというほどではなかった。

中高生や、あるいは20代の若者がいた記憶がない(そういう私も小学校卒業以来参加していない)。

 

地方で、小さな地区(集落)単位のお祭りというのは、担い手の不足や高齢化によって年々縮小していくのだろうな、という印象を持っていた(若者は上京したきり地元に帰ってこないし)。

 

山車(だし)

 

そんな見方が覆されたのは30を過ぎて袋井市に転勤したときだ。

この地方(浜松・磐田・袋井・掛川・菊川)では10月に各地区で(各集落で)お祭りが開かれていた(収穫祭)。

 

毎年この季節になると、上長が「祭りの準備のため休暇を取る日」を伝えるよう、グループメンバー一人ひとりにヒアリングしていた。

お昼休みには社員の人が祭りのために練習している横笛の音色が響いていた。

 

これはすごい気合いの入りようだぞ

と思った。私の地元の様相とはまるで異なっていたからだ。

 

その当時、地元の祭りで「交通整理(≒山車の誘導)」を担当するという20代の後輩に、祭りは楽しいのか? と聞いてみたところ

「めちゃくちゃ楽しいスよ」

とのことだった。

(は? 何言ってんすか祭りなんだから楽しいに決まってるじゃないすか、的な勢いで言われたので私はなんてマヌケな質問をしてしまったんだと後悔した)

 

ラジオで祭り用品専門店のCMが流れている。田んぼの中に看板がある。

山車には「○○車」と各地区ごとに名前が付けられている。

(人間はなぜ命名するのか? その対象へ愛情を注ぐためである)

 

遠州地方(静岡県西部地方)の祭りは本当に盛んだ。

やっぱり、祭りで一番大事なのは「熱量」なのだ。

 

コロナ禍でこの2年間、全国のほとんどのお祭りは中止を余儀なくされた。

全国的知名度を誇る大規模な祭りは別としても、地区(集落)単位の祭りは、人々の「熱量」があれば今後も存続するし、そうでない場合はこのまま消滅していくのかもしれない。

 

 

現在私が暮らしている四日市の地区では、意外なことにみこしや山車が出るような祭りはない(昔からある集落だと思うので少し意外だ)。

一方で市内の例えば富田(とみだ)地区では「富田一式けんか祭り」というものがあり、それなりに有名だ。

 

他方で、市が主催する「四日市まつり」というものがある。催しをしたりたくさんの出店を出したり、市内各地の山車を選抜・招聘したりしてかなり大規模に行うもので、つくば市でいう「まつりつくば」のようなものだ。

 

今年2022年でいうと8/6(土)が多くの市民が参加する「おどりの日」。8/7(日)が「郷土の文化財伝統芸能の日」だった。

後者では屋台の上の人形を操ったり(浄瑠璃)、捕鯨の様を描いたりと、市内各地から参集した祭りの担い手たちが郷土の伝統的な技を披露していた。ストーリー仕立てでとても興味深かった。

 

 

けれどもやはり、大四日市まつりのメインイベントは「大入道(おにゅうどう)」が出ることだ。

ご当地キャラ「こにゅうどうくん」のお父さんという設定である。

 

こにゅうどうくん 近鉄四日市駅

 

「お父さん」としての設定は最近できた後付けだが、大入道の歴史は古い。

江戸時代後期に製作された全高9mの日本一大きなからくり人形で、6人の人形師が操作するのだ。

 

まなぼうや HPより

東海テレビ HPより

 

そんな訳で私はこの大入道を間近で見るのを楽しみにしていた。

 

が、出演(出現?)直前にこにゅうどうくんが「パパは高齢だから無理しないことにした」旨のツイートをし、今年の出演がキャンセルされてしまったようだ。

人形師の方で体調不良者が出てしまったのだろうか?

 

帰宅した後、録画したCTY(北勢地域のケーブルテレビ)を観ると、過去の大入道の姿が紹介されていた。

 

首が伸びる、舌が出る、目が動く、眉毛も動く。思ったよりもいろんな箇所が精巧に動くようだ。

これはすごい! 機械仕掛けで、リモコンで動く訳ではなく、人形師が操作しているのだ。

 

主役不在となり不完全燃焼に終わった「大四日市まつり2022」。

来年は大入道の出現に期待したい。

 

大入道の「レプリカ」ならば近鉄四日市駅近くの四日市一番街商店街内で常時会える

 

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Dai-Yokkaichi Festival

Ep.122

Summer is the season of festival.  In this city, it held “Dai-Yokkaichi Festival”, which was composed People Dancing Day and Traditional Performance Day.

 

The most symbolic one was “大入道 Dai-nyudo”.  It was a giant 9m height mechanized puppet and was made in Edo period, 200 years ago!?  It’s a crucial historic object.

But in 2022, his appearance was canceled on the day.  Some puppeteers had a trouble due to corona virus problem maybe??

I hope to see his performance next year.

 

kankou43yokkaichi.com

 

鈴鹿8耐

Ep.121

鈴鹿サーキットの夏の風物詩「鈴鹿8耐鈴鹿8時間耐久ロードレース)」

今年2022年は、3年ぶりに開催された。

 

 

私にとって鈴鹿サーキットでの観戦は5月のSuper GT 第3戦(Ep.106参照)以来。バイクレースは初めてだ。バレンティーノ・ロッシ(イタリア)くらいしかライダーの名前を知らない私だが楽しむ気満々で赴く。

 

 

ホンダ、ヤマハカワサキ、スズキ、日本の4大バイクメーカーの展示がされている。

鈴鹿8耐で使用されるのは市販のバイクに改造を施したもの。ヴィジュアルがかっこいい。

 

 

この日、土曜日のメインレースは翌日の決勝のポールポジションを決める「トップ10トライアル」。しかし天候が不安定ということで中止となり、上位10チームが同時出場する「計時予選」に変更となった。

 

 

私はホームストレート直前の「日立Astemoシケイン」前で観戦していた。シケインを攻略するため、バイクを傾けライダーたちが通過していく。膝が地面に擦ってしまうことはないのだろうか?

そして爆音がすごい。

 

私が住む四日市のアパートでは、時々夜にバイクをふかすエンジン音が聞こえてくる。おそらく近くの田んぼでヤンキーが改造バイクを鳴らせて走らせているのだと思う。その音に似ているなと思った。

 

いやそれでは変だから、言い換えると、「ヤンキーたちが目指しているバイクの『音』」というのは、確かに、バイクレースで使われるような「本物の改造バイクの『音』」なのだなと思った。

 

 

計時予選を制したのはTeam HRC(長島哲太、イケル・レクオーナ高橋巧)。

彼らは翌日の決勝「8時間耐久レース」でも214周を走り総合優勝。

 

お膝元の鈴鹿サーキットホンダ・レーシング・クラブ(HRC)が優勝するのは意外にも8年ぶりとのことで、歓喜が爆発していた。

 

Team HRC auto sport webより

goo ニュース より

 

フィニッシュ前のライトアップがすごい!

鈴鹿8耐は観客と一体となって盛り上げる真夏の祭典なのだ。

 

auto sport webより

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Suzuka 8 Hours” motorcycle endurance race

Ep.121

鈴鹿8耐 Suzuka 8 Hours” is a motorcycle endurance race in the Suzuka circuit.  Everyone knows it, the most symbolic race!

 

I was impressed with engine sounds by modified bike, too loud!

I had a nice time this first bike race for me

 

www.youtube.com

www.as-web.jp

www.as-web.jp

news.goo.ne.jp

 

亀山みそ焼きうどん

Ep.120

亀山市ご当地グルメ「亀山みそ焼きうどん」は、この街の立地的・歴史的な背景から生まれた由緒あるものだ。

 

亀山市Ep.101参照)は、国道1号線東海道)が通る(現在では東名阪や新名神Ep.63参照)も通る)交通の要衝。

関東をはじめ東日本からやって来たドライバーたちにとっては、亀山まで来て、あとは山を越えればもう近畿圏だ。

 

多くのトラックが行き交った高度成長期。亀山では運転手たちを客のターゲットにした食堂(焼肉屋)が次々に開店したそうだ。

それらはホルモンのように安い部位を味噌ダレ(特に赤味噌Ep.13参照))で味付けして提供するというもので、その「シメ」でうどんが使われたとか。

 

そんな背景があったため、15年ほど前のB級グルメによる全国的な街おこしブームの際、亀山の市民団体が着目。「亀山みそ焼きうどん」という呼称にして活動を推進し、今に至るのだった。

 

亀八食堂

 

私は2年前に四日市に引っ越して来て以来、鈴鹿・津・桑名・いなべ・菰野といった近隣の街にはしょっちゅう行くものの、なぜか亀山はスルーしており、今まで1度しか訪れたことがなかった。家からわずか20kmの距離だというのに。

 

それが今回、職場の後輩(亀山市出身)から「亀八食堂行ってください」と言われたので、来てみたのだった。

この「亀八食堂」こそが、亀山みそ焼きうどんの発祥のお店だ。

 

 

確かに、トラックの運ちゃんフレンドリーな、典型的な広い駐車場がある。

店内に案内されると、テーブルにセットされた鉄板。適当にお肉の種類を注文する。

そこでふと「一人焼肉」は初めての経験だな、と気付いた。

 

 

注文した品がやって来る。肉、キャベツ、もやし、そして味噌ダレ。ドバッと鉄板の上に豪快に載せられる。これを自分自身でトングで混ぜるとのこと。

意外だったのだが、味噌ダレがかなり容易に延びて、全体に均一に行き渡った。野菜から出る水分のためだろうか。

美味しくいただけた。

 

 

そして「シメ」でうどんの投入。変な話だが、今回はこれこそがメインなのだ。

 

 

味噌ダレも肉汁も、うどんが吸収した。正直に言うと鉄板の上を都合よく「清掃」している感じもするのだが、もちろん美味しくいただけた。みそ焼きうどん、美味しい!

 

 

そんな亀山みそ焼きうどんを自宅で作ってみようと思ったのは鹿のモモ肉が手に入ったからだった。これで「亀山みそ焼きジビエうどん」を作ってやろうという魂胆だ。

 

鹿肉を扱うのは初めてだったが以前にイノシシ肉を調理したことはあった。

このときの経験をもとに、臭みと硬さに対応するため、多量の薬味と圧力鍋を用いた。

 

 

ただ結果的には、イノシシ肉より手がかからなかった。圧力鍋じゃなくてもある程度煮込めば柔らかくなりそうだ。味見をしてみたら、弾力があって食べやすいお肉になっていた。臭みも問題ない。

 

参考 株式会社 安全より

 

続いて肝心の味付け。なお亀山みそ焼きうどんのタレというのは、市販されている。

しかし、料理はソースやダシを自分で作らなければ面白くない。自分が表現したい部分、あるいは味を支える根本の部分を出来合いのものに完全に委ねる訳にはいかない。そこは自分でコントロールしたいからだ。

 

折りしも、「自家製味噌2022」が熟成完了の季節を迎えていた。私は昨年2021年(Ep.66参照)に続き、今年も三重県産の大豆フクユタカを用いて手前味噌を作っていたのだった。

 

自家製味噌2022(三重県産フクユタカ使用)

 

 
だからこれを使おう。豆板醤、豆醤、九鬼産業()のごま油(Ep.15参照)と合わせて味噌ダレ(ソース)を作る。

(実際の亀山みそ焼きうどんの味噌ダレは赤味噌が一般的なのだがまあいいだろう)

 

 

亀山みそ焼きジビエうどん

 

完成、のち実食。

うどんを炒めすぎて柔らかくなりすぎちゃったというのはあるが、味付けを含めて評価すると、う〜ん、いまいちかな笑。

 

ここに至って一つの結論として辿り着いたのは、「亀山みそ焼きうどん」というのは焼肉の後の「シメ」として食べるから、美味しいのだということだった。

それは初めから「焼きうどん目的」で食べるのとは根本的に意味合いが異なる。鍋料理を食べ終わった後のシメで、うどんやラーメンや雑炊を作るのと同じだ。鍋料理の魚介のエキスが染み込んでいるから美味しい。

 

そんな訳で、自分で作ることによって初めて「亀山みそ焼きうどん」の本質に迫ることができたのだった。

 

 

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Kameyama Miso-yaki udon

Ep.120

“Kameyama Miso-yaki udon is the regional cuisine which is related to historical and geographical reasons of Kameyama city.

It is Miso-yaki udon with Aka-Miso (Ep.66) sauce after finishing to eat yakiniku on iron plate.

This is a crucial point.  It’s NOT main, but sub!

Therefore, even if I completed Kameyama Miso-yaki “gibier” udon (with deer meat), it was NOT good enough.

 

kirakame.sakura.ne.jp

www.kamehachishokudo.jp

 

四日市公害裁判判決50年

Ep.119

前の会社に勤めていた10年ほど前の話だ。若手社員を集めた研修(社長合宿)が唐突に始まった。

趣旨は、社長以下、重役の人たちが会社の未来を担う若手社員たちにメッセージを伝える、というものだった。

 

宿泊を伴ったこの研修では、若手社員たちはあらかじめ与えられた課題(小論文みたいなもの)をみんなの前で発表し、それを社長たちが論評したり、みんなで議論したりするものだった。

 

と言えば聞こえは良いが、実際には社長から考えが甘いと叱責されたり理不尽な指摘をされたりと、ほとんど全ての参加者は厳しいことを言われる運命にあり、従って始めから負け戦の様相を呈していた。

 

そんな訳であまり楽しい思い出はないのだが、この研修で社長が話したあることに、深く感銘を受けた。

 

 

君たちは歴史を学べ! 歴史書を読め! 歴史書には過去の人間の実験結果が全て書かれている。これを生かさない手はないだろう!

 

 

『歴史とは人類の実験結果』と表現するあたりが、エンジニア出身の社長らしいなと思った。

 

エンジニアやサイエンティストというのは実験や検証を行うが、それは基本的に失敗する(うまくいかない)。だから条件を変えて再トライをする(それもうまくいかない)。そのようなトライアンドエラーを何度も繰り返し、少しずつゴール(最適解)に近づくというプロセスをとる。

 

 

絶対王政共産主義も世界大戦も、既にやった。全て失敗した。だからもうやらない。歴史を学ぶこと、過去を知るということは、現在の自分達が置かれた状況や立ち位置を認識することに繋がり、より良い未来を作ることにも繋がるのだ

 

 

ストン、と腹に落ちた。

なぜ学校の授業で歴史を学ぶのか? と学生に問われたら、上のように答えよう。

ところで、現在の世界の指導者たちはちゃんと歴史を学んでいるだろうか?

 

 

四日市にも歴史を学ぶことのできる場所がある。

「そらんぽ四日市四日市市立博物館・四日市公害と環境未来館)」である(Ep.2159参照)。

 

今夏には企画展「四日市公害判決50年展~過去をふり返り未来へつなぐ~」が開催されていた。

そうなのだ。今年2022年は判決から50年の節目。化学メーカーたちの過失を認め、環境汚染を度外視した大量生産・利益追求の姿勢を戒め、その後の日本社会を大きく変えることとなった画期的な判決は、沖縄返還日中国交正常化と同じ年の出来事だったのだ。

 

 

企画展は子どもの視点で当時の四日市の様子を描く、という趣旨で、理解し易いように工夫されていた。

 

 

化学工場で出る廃棄物は主に「廃液」で、これは水や有機溶剤の中に有害な金属や粒子や有機化合物が含まれているというものだ。

工場で出る廃液の量というのはとにかく大量なので、外部の産業廃棄物処理業者に依頼するのはコストが合わない。従って自前の工場で処理まで行うことになる。

 

処理の仕方は大きく分けて2つしかない。

廃液を超キレイにした後に川や海に放流するか、燃焼させて有害成分を水と二酸化炭素に分解してから煙突で大気中に放出するかだ。

 

 

四日市ぜんそく」については煙突から排出された亜硫酸ガス(SO2)が原因だが、実は大気汚染が表面化する前には海から異臭がしたり魚が油臭くなったりという事象が報告されていた。

つまり当時の化学メーカーたちは自らの生産活動によって生じた廃棄物(廃液)をろくに処理することなく、海や大気といった自然界に排出していたということだ。

 

 

裁判の争点の一つは、原告の健康被害は被告(化学メーカーたち)が排出した煙の影響によるものであるか、というものだった。

化学物質を扱うプロである化学メーカーたちが亜硫酸ガスの有害性を把握していないはずはなく、つまりはしらばっくれていた訳だが、これには絶句するしかない。

 

 

1972年に出された判決では原告の全面勝訴となり、以後日本社会では環境改善の取り組みが進んだ。人々の「意識」が変わることとなる、歴史的な出来事だった。

 

四日市ぜんそくに限らず、水俣病イタイイタイ病も含めて、この一連の時期に起こったようなレベルの公害問題が今後も日本社会で起こる可能性は低いように思える。

しかしながら昨今の地球温暖化や異常気象の問題も、形を変えた広義の意味での公害と言えるかもしれない。

グローバルな大量生産・大量消費の果てに生じた事態に相違ないからだ。

 

 

大量生産・大量消費社会は、既にやった(過去)。

結果、地球環境に甚大な悪影響を及ぼすことが判明し、失敗した。だからもうやらない(現在)。

なので地球環境の永続性を最上位の概念に置きつつ、その上で産業や社会を発展させる道を目指すこととした(未来)。

 

SDGsもまた、人類の壮大な実験の一つだ。

 

 

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50 years anniversary of court trial judgement of Yokkaichi asthma

Ep.119

50 years has passed since the court trial judgement of Yokkaichi asthma.

In 1972, the court admitted negligence for chemical makers because of causation between asthma and sulfur dioxide, so that ordered them to pay compensation for damages.

It was significant incident which leaded the end of mass-production/mass-consumption era and made all people change their mindset to “eco” in Japanese society.

 

Present day, it’s unlikely to get back these days,1960’s, but global warming and abnormal climate might be also “industrial pollution”.  It’s global issues.

So that human has started to aim new strategy, “sustainable development goals, SDGs”.

 

www.city.yokkaichi.mie.jp

 

 

三重ダービー 2nd leg, 2022

Ep.118

8月下旬、鈴鹿ポイントゲッターズの三浦泰年監督(ヤス監督)以下、数名の選手たちが四日市市役所を表敬訪問したとのローカルニュースを見た。

そこには三浦知良選手(カズ選手)の姿もあり、四日市市ご当地キャラ「こにゅうどうくん」とハグをしたり、笑顔で写真に収まったりする様子が映し出されていた。

 

中京テレビ HPより

中日新聞 HPより

 

私はこの光景を見て、しばし呆然としていた。

日本サッカー界の伝説的選手は約半年前まで四日市三重県に縁もゆかりもなかった。

それが今、私が暮らす街(四日市)の市役所にやって来て、市民にはお馴染みの舌を出した小僧と同じ構図の中にいるではないか。

人生、何が起こるか分からない。

 

<カズ選手の鈴鹿PG加入>

以前にも書いた(Ep.40参照)が、私はJリーグ開幕の1993年は小学2年生で、当時の熱狂を肌で知る最後の方の世代だ。

カズ選手は当時26歳。ヴェルディ川崎のエースストライカーとして得点を量産し、チームを初代王者に導いた。人気・実力ともに別格で「Jリーガーの象徴」だった。

 

日刊スポーツ HPより

 

かの有名なカズダンス。もちろん私も小学生のとき、友達と学校でサッカーをしていてゴールを決めたらマネした。あの頃、男の子はみんなカズダンスをしたことがあると思う。カズ選手はそういう存在だった。

 

全盛期のカズ選手の節目節目はすべて見てきたし実際に覚えている。

 

シーズン終了後の表彰式のMVPの発表で赤いスーツでド派手に登場したこと。ドーハの悲劇で悲観に暮れる姿(1993年)。デカビタC(栄養ドリンク)のCMでハンドルを握る指にキラリと指輪が光っていたことでさえも。

 

セリエA=世界最強リーグ」だった当時、ジェノアに加入して開幕戦でヘディングを競り合った際に鼻骨骨折という大怪我をしたこと(1994年)。

 

ジョホールバルの歓喜となる試合(イラン戦)では、岡田武史監督がカズ選手&ゴン中山選手の「ツートップの2枚同時替え」で城彰二選手と呂比須ワグナー選手を投入するという戦慄の奇手を放った際、「俺?(が交代するの?)」とジェスチャーしていたことも。その後フランスW杯メンバーから外れて失意の帰国をした際の「魂は置いて来た」とのコメント(1997年)も。

 

全て絵になった。「日本サッカー界の象徴」だった。

 

ジョホールバルの歓喜 デイリースポーツ HPより

 

そのカズ選手が、当時から25年以上経ち、55歳になった今も現役を続け、そして2022年1月。兄のヤスさんが監督を務めるJFL鈴鹿ポイントゲッターズ(鈴鹿PG)に移籍してきた。

それは地元(三重県)と全国を賑わすビッグニュースだった。

 

 

鈴鹿PGに訪れた試練>

さて、鈴鹿PG。三重県から初のJリーグ入りを目指すJFL(日本プロサッカーシステムの4部に相当)のチームである。

私はミラグロス・マルティネス前監督が指揮していた21年シーズン開幕時からこのチームを応援している(Ep.48参照)。ミラ監督の「攻めダルマ」のごとき攻撃的サッカーが好きだったのだが、守備が壊滅的で昨シーズンの夏前から成績が下降して辞任。その後を継いだのがヤス監督(21年7月)だった。しかもGMとの兼任だ。

 

三浦泰年監督(ヤス監督) 鈴鹿PG HPより

 

しかし不祥事が顕在化する。クラブ運営会社の元執行役員が「八百長指示」があったと騒ぎ立て、運営会社社長を恐喝。

これに対してなんと運営会社と社長側は2,500万円を支払ってしまった。

味をしめた元執行役員が更に5,000万円を求めたところで運営会社は警察に通報。事件が明るみに出ることとなった。

 

結局、Jリーグ規律委員会による結論で「社長による八百長指示は認められなかった」となったのだが、不適切な金銭の支払いにより「Jリーグ入りの資格」は停止されてしまった。

加えてこの不祥事によりクラブ運営会社社長以下、4名の役員が辞任してしまったのだ(22年6月)。

 

読売新聞 HPより

 

ミラ監督辞任 → ヤス監督就任 → 八百長疑惑報道 → カズ選手加入報道 → カズ選手加入 → 地元で嵐のようなフィーバー → 八百長疑惑決着・Jリーグによる裁定 → クラブ運営会社役員総退陣

 

わずか一年の間に、こんなにも波瀾万丈な出来事を起こして、かつ全国的な知名度を獲得したクラブチームを私は他に知らない。

一年前までは「スペイン人女性監督が率いる知る人ぞ知るちょっとユニークな地方クラブ」に過ぎなかったのに。

 

今回、鈴鹿PGにとってはこれまで地域で一つずつ築き上げてきたものが、一気に瓦解する恐れのある、まさに超難局が訪れた。

そしてこれに対処するためにクラブが打った一手は、驚きのものだった。

 

産経新聞 HPより

 

クラブ側は自らに向けられた社会からの不信を一掃するため、ヤス監督の知名度と信用性を活かし、クラブ運営会社の代表取締役に選定してしまったのだった!?

 

考えてもみてほしい。

ヤス監督は「サッカーで」クラブの発展に貢献するために、監督とGMの役割で鈴鹿にやって来たはずだ。

それなのに自分が来る前にクラブが起こした不祥事が発覚し、あれよという間に運営会社の代表取締役にもなってしまった。

 

プロスポーツクラブ運営のための「三権(分立)」というものがあるならば、それはきっと、

監督(現場の最高責任者)

GM(長期的視点に立った上でのクラブとしての戦略策定や戦力補強の最高責任者)

運営会社の代表取締役(経営の最高責任者)

だろう。(ただしこの三権の外にあって最も力があるのは「オーナー」)

 

ヤスさんは今、三権すべてでトップにいるのだ。

 

こんな奇妙な話を私は聞いたことがない。

(さすがに運営会社の代表取締役については2人体制とし、もう一人の方、法人経営に実績のある山口隆男氏が主に経営を担当するようだ)

 

 

鈴鹿PGにおけるカズ選手>

3月13日に行われたJFL2022シーズン開幕戦。鈴鹿PGは四日市市の中央緑地公園(Ep.86参照)にある競技場でラインメール青森を相手に2-0で勝利を収めた。カズ選手もスタメンで出場し、観客は4,620人。大いに盛り上がった。

 

それ以降、私は家でYoutubeJFLは全試合リアルタイム中継される)でよく鈴鹿PGの試合を観てきた。

カズ選手のことはもちろん応援しているし、ゴールを奪って欲しいと思っている。

 

けれど正直に言うと(JFLでも)活躍するのは難しいだろうなと思っていた。

そしてそれは想像以上だった。

 

鈴鹿ポイントゲッターズ 公式HPより

 

優れたストライカーを評価する指標の一つに「ゴールバリエーションの豊富さ」というのがあると思う。

ドリブルで単独で切れ込んでいってシュートして決められる。ミドルレンジからシュートを放って決められる。センタリングに頭で合わせて決められる。味方のラストパスに相手DFの死角からタイミングよく飛び出してちょこんと触れて決められる。

あらゆるゴールバリエーション(シュートパターン)があるからディフェンスは後手になる。結果、止められない。

 

例えて言うと、2018-2020シーズンに柏レイソルに所属していたFW マイケル・オルンガ(20年シーズンJ1・MVP&得点王。ケニア代表)のように。

 

マイケル・オルンガ選手 Jリーグ史上最強のストライカーだった? Football Zone HPより

 

カズ選手はというと、未だクリーンにシュートを放つシーンが一度もない。それ以前に、ゴール近くでボールを保持して前を向くことすらできないのだ。

もちろん、中盤まで下がってパス回し(ビルドアップ)に参加させるというチーム事情もあるのは分かるが、それでもFWという相手ゴールに最も近いポジションを、実力が劣る選手が務めると、こんなにも何もできないものか、と驚いたのだ。

 

「点を獲ってチームの勝利に貢献する」のがFWの役割。その気配すら感じられない、厳しい状況が続いている。

そんなカズ選手は5月に負傷して当初想定よりも長期離脱。8月も終わりを迎えようとしていた。

 

 

三重ダービーについて

サッカーで同じ街や地域を拠点にするチーム同士(ライバル)が戦う試合のことを「ダービーマッチ」と言う。

袋井市に住んでいたとき、「静岡ダービー」(清水エスパルスvsジュビロ磐田)を観戦しに行ったことがある。

 

静岡ダービーともなると試合会場がヤマハスタジアム磐田市)ではなく、より収容人数の多いエコパスタジアム袋井市)になった。この一戦には4万人近く集まるためだ。

そして大変な盛り上がりを見せていた。静岡では、ダービーマッチが定着していた。

 

転じて三重県ではどうか?

 

「今週末、三重ダービーだよね〜」

「楽しみ〜」

 

という会話が地元民の間(職場とか)で交わされるかというと、ない。それはあり得ない。

「三重ダービー」というワード自体を誰も発さないし、そもそも試合があることを把握していない。

「三重ダービー」としきりに呼称しているのは地元メディアと、当事者たち(鈴鹿PGとヴィアティン三重の広報)だけなのだった(Ep.77参照)。

 

伊勢新聞 HPより

 

冒頭の市役所の表敬訪問の話に戻る。

「三重ダービー」について地元メディアから問われたカズ選手が答えていた。

 

負けられない、それがダービーの面白いところ

ダービーに間に合うように調整し、勝利に近づけるようなプレーをしたい

 

これを聞いたとき、カズ選手は完璧な模範コメントをするなと思った。

 

歴史も伝統もない三重県内の2チームによる「ダービーマッチ」について、一年前は両チームのことなんてほぼ知らなかったであろうカズ選手が、こんなにも殊勝なコメントをしてくれた。

 

三重県民は、これから彼ら自身で「三重ダービー」を盛り上げていかなければならないな、そしてカズ選手に最大級の感謝をしなければいけないな、思った。

 

鈴鹿ポイントゲッターズ 公式HPより

 

三重ダービー云々よりも、この表敬訪問時に注目されたことがある。それはカズ選手の先のコメント、及びヤス監督のコメントから

「どうやらカズ選手が故障から復帰してこの試合に出場しそうだ」

ということだった。

 

これに色めきだったNHK津放送局は、急遽総合テレビで生中継することに決めた。

6月5日に行われた今シーズン最初の三重ダービー(V三重がホームで4-1で勝利)ではそんなことなかったのに。

やはりカズ選手が出場しそう、というのがすべてだ。

 

 

<三重ダービー 2nd leg, 2022>

迎えた9月4日、四日市市中央陸上競技場に4,054人を集めて今シーズン最後の三重ダービーが行われた。

 

鈴鹿ポイントゲッターズ 公式HPより

ヴィアティン三重 公式HPより

 

カズ選手はスタメンではないもののベンチ入り。後半からの出場が期待される。

 

前半を0-0で折り返して後半。51分に鈴鹿PGはコーナーキックから、DF 今井那生選手(3番)が押し込んで先制する。

続く60分、鈴鹿PGは左サイドを突破したDF 上田駿斗選手(6番)が中央にグラウンダーのラストパスを送ると、これにMF 三宅海斗選手(19番)が完璧なタイミングのワンタッチシュートであわせて追加点を挙げた。

 

三宅選手は現在JFLの得点ランキング第1位(11得点目)。今シーズン開幕前にJ3鹿児島ユナイテッドFCから移籍してきた選手だ。

前半からずっと見ていて、三宅選手は別格だった。ゴールへ向かうドリブルスピード、瞬時に前を向いて素早く振り抜くミドルシュート、動きのキレ。得点シーンも、確実に仕留めた。

こういう選手が得点を重ねていくんだなと思った。このカテゴリーにおいて「違い」を見せつけてくれる、明確に優れた選手だ。

 

三宅海斗選手 鈴鹿ポイントゲッターズ 公式twitterより

 

そして80分、殊勲のエース・三宅選手に替わってカズ選手が投入された。盛り上がるスタンドと実況。3ヶ月ぶりに、カズ選手が戻って来たのだ!

 

日刊スポーツ HPより

 

2点リードで試合時間残り10分という、故障明けのベテラン選手には最適な状況下だったかもしれない。もちろんヤス監督としては、カズ選手にチームの3点目を獲らせて相手の息の根を止めるために送り出しただろうが、鈴鹿PGの選手たちも既に引いて守っており、ボールを奪っても前線のカズ選手に素早く送ってカウンター攻撃、というほどの意図は感じず。

カズ選手も相変わらずマイボールにはほぼ絡まなかったけれど、相手のパス回しにプレスをかけていた。

 

そしてこのままタイムアップ。鈴鹿PGが見事、2-0でV三重を下した。

これで2022シーズンのJFLにおける三重ダービーも、通算1勝1敗となった。(これとは別に天皇杯三重県大会決勝で鈴鹿PGはPK勝利)

 

鈴鹿ポイントゲッターズ 公式twitterより

 

というわけで、今年も「三重ダービー」を十分に楽しめた。

カズ選手のことはこれからも応援しているし、点を獲って欲しいと強く思う。

 

そう遠くない日に、カズ選手がゴールを決め、それによる爆発的な歓喜とみんなの笑顔が、三重県から全国に広がりますように。願っている。

 

 

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“Mie derby” 2nd leg, 2022

Ep.118

On Sep 4, the match of Japan Football League, Suzuka Point Getters vs Veertien Mie was held in the Yokkaichi stadium.

It was first “Mie derby” for Miura Kazuyoshi who was a living legend striker and the icon of Japanese football union.

 

As a result, Suzuka PG got 2-0win.  Kazu played only very short time because of recovery from his injury, but it made us happy.

 

https://suzuka-un.co.jp

www.veertien.jp

 

五ヶ所小梅 三重県の伝統食材11

Ep.117

「五ヶ所小梅(ごかしょこうめ)」は南伊勢町で原木が見つけられて以来この地で栽培されており、毎年5月中旬から6月上旬までのわずかな期間しか流通しない。

 

特徴は「果肉が厚く、漬け上がりの鮮やか」なことで、「五ヶ所湾から吹く潮風が小梅の生育に適度なストレスを与え、良質な果実を育む」とのことだ。

「みえの伝統果実」に選定されている4品のうちの一つだ。

 

JA伊勢 HPより

今回のテーマは「五ヶ所小梅」

 

さっそくこの食材の特徴を活かした料理を考える。

しかしながら、梅干し・梅シロップ(梅ソーダ)・梅酒くらいしか思い浮かばない。自分の着想の乏しさを認識つつもベーシックなこの3品に取り組む。

 

1. 五ヶ所小梅の梅干し

6月中旬、巨大なザル、甕、漬け物石などをホームセンターで調達してから取り掛かる。

衝撃的な量

なり口の処理がハード

静置

8月上旬。完成

五ヶ所小梅の梅干し

感想;

かなり小ぶりな梅干しだ。小梅だからそうなるだろう。食べてみる、、、

しょっぱい!!? 表面を見ると塩化ナトリウムの白い結晶が浮かんでいる。

レシピ通りに食塩量を仕込んだはずだが、対象としている梅のサイズが違うためか? 小梅の場合は表面積が大きくなる分、塩が過剰になってしまった?

また「果肉が厚」いのが特徴だとのことだがまったく感じない。実(み)はほんの少ししかない。

 

以来、私は毎日のお弁当に2個入れている。

お昼のお弁当で食べると、通常時よりもしょっぱさは感じないのだった。午前中の労働で疲れているから?

それにしても小梅なので個数にすると果てしなく大量にできてしまった。これを消費し終えるのはいつになるのだろうか。

 

 

2. 五ヶ所小梅ソーダ

6月上旬。五ヶ所小梅、氷砂糖でシロップを作る。

一日ごとに氷砂糖が溶解して容器底に液体が溜まっていく。少しずつシロップができてくるのが気持ちを高揚させる。

五ヶ所小梅のシロップ

五ヶ所小梅ソーダ

感想;

準備から2週間後、五ヶ所小梅のシロップ適量を炭酸水で割る。できあがった五ヶ所小梅ソーダ。これは美味しい! 真夏のお風呂上がりの一杯で飲む爽快感。梅の香り、最高に感じる。

シロップが多すぎると勿体無い。少なくしすぎると香りが足りず残念な感じがする。炭酸水との比率においてベストなポイントがあるのだ。

 

 

3. 五ヶ所小梅酒

6月上旬。五ヶ所小梅、氷砂糖、ホワイトリガーで梅酒を作る。保存期間を長くするほどまろやかに、琥珀色に変わっていくらしい。

 

上記の写真を見ると「果肉が厚」いのが特徴だというのがよく分かった。塩に漬けるか砂糖に漬けるかで梅の果肉の厚みに大きな差異が生じるのだ。

前者ではスタート時よりも縮まり、後者では逆に丸々と膨れ上がった。製造手順の差異と浸透圧に理由がありそうだ。

 

レシピによれば梅酒とは1年以上置くのが良いとのこと。そこまでは待てない。2ヶ月後に飲んでみた。

五ヶ所小梅酒

感想;

美味しい! 市販の梅酒と比べて遥かに味が濃い。喉を通過する最終盤に、苦味? だろうか。それがあるのもいい。

市販の梅酒は薄っぺらいのが分かる。希釈しすぎているのではないか? 梅酒は梅の味が濃厚なのが美味しいのだと知った。自分で濃度をコントロールできるのもまた手作りの良いところだと思う。

 

 

そんなわけで五ヶ所小梅の3品を作り終えた。

三重県の伝統食材」シリーズを振り返ると、「みえの伝統野菜」6品目、「みえの伝統果実」4品目をこの1年の間にすべて入手し、その特徴を活かした料理を試み終えたことになる。

 

みえの伝統野菜

三重なばな:Ep.81

伊勢いも:Ep.78

芸濃ずいき:Ep.57

きんこ:Ep.87

たかな:Ep.84

松阪赤菜:Ep.72

 

みえの伝統果実

市木オレンジ:Ep.93

蓮台寺柿・前川次郎柿:Ep.75

五ヶ所小梅:Ep.117

 

途方もない快挙である。こんなことをやった人が他にいるだろうか?

 

ところで、このブログの筆者はなんでこんなことをしているのか? と思うかもしれない。

料理後の感想を見るとだいたい失敗したり反省してるじゃないかと。面白おかしく書きたいだけなのかと。

それは違う。

 

私は、今現在三重県四日市市で暮らしているが、今後もずっと、この街にい続けるということはない。いつか、また違う街に、地域に引っ越すことになるだろう。

そうしたときに、人生の一時期を三重で暮らしたという証が欲しいのだ。そしてそれは知識や経験といったものではなく、何らかの技術(スキル)として欲しいと願うのだった。

 

「キミは三重県で何を身に付けてきたのかね?」

と将来、誰かから問われたときに、

 

私は三重県の郷土料理やご当地グルメを作ることができます。三重県の伝統食材を用いた料理も作れます

 

と、言えるようになりたいじゃないか。

そのためにこの「三重県の伝統食材」&「料理の鉄人」シリーズをおこなってきたのだ。

私が望んだのは、この土地でしか身に付けることのできない料理の技術だった。

 

三重県の「オフィシャル」として選定された伝統野菜・果実は上述の10品目だが、もちろん他の伝統食材や、この地域ならではの食材はたくさんある。

今後もこのシリーズは続くのだった。

 

 

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五ヶ所小梅 Gokasho-koume the traditional ingredients of Mie, part 11

Ep.117

五ヶ所小梅 Gokasho-koume (Gokasho small plum) is one of the traditional fruits of Mie.  It’s said to be thick pulp as a feature.  Let’s try cooking it!

 

1. Gokasho-koume umeboshi (pickled Gokasho-koume)

Through 2 months process, I got it.  It's too saulty!  But since then, I have had 2 pieces in my lunch box.

 

2. Gokasho-koume soda water

After making this syrup, allocated with soda water.  That was too nice.  I can get wonderful fragrance of ume (plum).

 

3. Gokasho-koume wine

It was nice too and strong taste, compared with commercialized product.

 

According to this Gokasho-koume cooking, I have completed all 10 kinds of “officially” traditional vegetables and fruits of Mie.

It must be a remarkable accomplishment!

Are there someone who do it such things?

 

www.jaise.jp

www.ja-town.com

https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000101325.pdf

www.pref.mie.lg.jp

 

 

工場見学 味の素(株)東海工場編

Ep.116

四日市市日永にある味の素(株)東海工場。

ほんだし」を製造しているというこちらでは工場見学を開催している。

 

他社(ケミカルメーカー)の製造現場を見られるというのは滅多にない貴重な機会。ワクワクしながら参加した。

 

ほんだし 味の素(株) HPより

味の素(株)東海工場

 

その回の参加者は私以外に2組。いずれも小学校低学年の小さい子を連れた家族だった。まず工場見学の説明をガイドの方から伺う。

それによると、私たち見学者はほんだしの秘密をスクープする新聞記者となり、オリジナルの新聞記事を完成させるのがミッションだという。

学校の社会科見学のような、お子様が楽しめる内容になっているようだ。

 

まず「だし汁」や「旨味」を認識するところからスタート。目の前に用意された「味噌を溶いただけの汁」を一口飲み、続いてほんだしを小さじ2杯加えて味噌汁の味がどう変化するか、というものだ。

 

イメージ 味の素(株) HPより

 

続いてガイド兼司会の方が見学者にクイズを出す。

「お味噌汁に入れる一番人気の具材は何でしょうか?」

と、見学者の子どもをさして回答を促す。

見学者の女の子:「豆腐!」

司会の方:「正解です! では二番目に人気の具材は何でしょうか?」

見学者の男の子:「わかめ!」

司会の方:「正解です! では三番目に人気の具材は何でしょうか?」

 

その2人以外にもう見学者に子どもはいない。これは仕方がないなと思い挙手して回答してみた。

私:「油揚げ!」

司会の方:「うわ〜正解です! 油揚げはなかなか当たらないんですよ!」

とのことで見学者一同から拍手をもらう。勘で答えたら見事に正解してしまったこともあり照れた。

 

本物の鰹節

 

場所を移動して鰹節についてのレクチャーと実際にカンナで削る体験へ。

これは私も経験がなかったので面白かった。カッチンコッチンなんだね鰹節とは。

 

それにしても大昔に鰹節を発明した人はどういう着想から至ったのだろう。

カツオの身を燻して乾燥させてそれを削って料理の下味とするなんていうアイデアを。

 

かんなで削る

 

私は一人で参加していたためか、ガイドの方たちがよく話しかけてくれた。

エレベーターを待っているときも、若い女性のガイドの方が

「先ほどのほんだしを入れたお味噌汁はいかがでしたか?」

と、終始笑顔で話しかけてくれた。

「とても美味しかったです」

「そうですよね〜。ご自宅でほんだしは使われていますか?」

「え!? いや、、、使ってないです。」

「えっっ!? 使われていないのですか...(絶句)」

「はい(すいません)。家では鰹節と昆布と煮干しで出汁をとってます」

「うわぁ、本格的ですね!」

 

鰹節から出汁をとるのが「本格的」かどうかは別として、私がほんだしを使っていないのは事実だ。

そうなのだ。私は喜び勇んでほんだし工場に見学に来たものの、実は家でほんだしを使っていないのだった。

 

 

余談だがほんだしを入れた味噌汁と、本物の鰹節などから出汁をとった味噌汁の違いを当てられるか? と問われたら、ほぼ確実に当てられる。

違いの一つは、「味が多成分」なのが本物の鰹節だ。ほんだしは味(旨味)の成分が少なく限定的だ。

二つ目は、ほんだしは味(旨味)が高濃度なのだ。それは「顆粒(かりゅう)」という外観から想起されるイメージさながら、旨味が高濃縮された製品である。本物の鰹節などからとれるだしは、もっと薄く、優しく、仄かなものだ。

 

といっても私はほんだしが嫌いなわけでも否定的なわけでもない。

味噌汁の出汁に使うと分かるけれど、卵焼きや炒飯や漬物に少量振りかけて使うのはとても便利だ。顆粒なのでそれが最適な使い方だと思う。

 

味の素(株)東海工場 味の素(株) HPより

 

続いて製造現場の見学へ。私にとってはここが最も興味深い。

ちり一つない。掲示物は明瞭で床に動線がとられている。ため息が出るくらいキレイだ。

 

製造現場では「5S」(整理・整頓・清潔・清掃・しつけ)という概念があるように、キレイであることが事故のリスクを減らし、作業を効率化するために重要とされている。

化学メーカーもこの工場を見習ってほしい、と思った。

 

ほんだしを製造しているのは四日市と川崎工場とのこと。中でも四日市(東海工場)は2020年にリニューアルされたこともあり、よりスマートファクトリー化がなされたようだ。味の素(株)の数ある工場の中でも最重要の工場なのだ。

 

 

ほんだしのベースとなる鰹節には燻し方が違う3種類がある。浅燻し・深燻し・極深燻し。これは2007年に始まった。ほんだし50年の歴史の中で、このときが最も大きな味のリニューアルだったとのこと。

 

ガイドの方に質問してみた。

当時何があったのか? 国民的な調味料の味が変わることに対する消費者離れのリスクがあるのにリニューアルに踏み切ったモチベーションは?

 

いわく、「鰹節職人の方が、従来よりも格段に風味などが改善された新たな燻し方法を開発して、上層部に進言した。それを採用することにした」と。

 

そんな究極的なボトムアップ的新製品の開発があるのか!? こんな大企業で。凄いことだ。

 

 

無事、新聞記事も完成し、感謝状を送られた。

とても楽しく充実の工場見学だった。

 

お土産

 

お土産でほんだしをいただいた。さっそく、家でほんだしを使った料理を作ってみよう!

 

 

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Factory tour as Ajinomoto inc. in the Tokai Factory

Ep.116

Ajinomoto inc. is one of the biggest food products/chemical company and their main product ほんだし Hondashi has been smash hit in all over the world since 1970.

It’s granulated powder of katsuobushi which is user-friendly alternate true one (smoked bonito).  Many people use it in their cooking of Japanese cuisine like Miso-soup as dashi.

The Tokai Factory of this company in Yokkaichi welcomed to general people for  “Hondashifactory tour”.  So let’s join it!

 

About this tour, participants can get recognition of the importance of dashi through experience and see production area of Hondashi.

It is interested in latter, because I’m working in a chemical factory.

 

In fact, their production line was extremely clean, must be the latest “Smart Factory”.

This product made from here sends to people in the world!

 

www.1-10.com

www.ajinomoto.co.jp

 

NTN総合運動公園

Ep.115

NTN総合運動公園は桑名市の自然豊かな場所にある。

私が好きなローカルスーパー「一号館プラス 桑名陽だまり店」(Ep.36参照)の近くだ。

 

NTNはもちろんベアリング大手のNTN株式会社のことで、桑名市発祥のこの会社が公園の名前に冠しているようだ。

 

 

広々とした立派な陸上競技場がある。青空の下、地元の陸上クラブの子どもたちだろうか? 楽しそうにランニングをしていた。

 

NTN陸上競技部は実業団の強豪だ。

私が毎年かかさず観ていて元同僚たちと区間予想までしている元日のニューイヤー駅伝こそ優勝を争うほどではないけれど、先の世界陸上オレゴン大会(22年7月)の女子35km競歩では園田世玲奈選手が9位に入った。

男子1,500mの小林史和選手は元日本記録保持者で日本選手権6度制覇の名選手だった。

 

 

競技場を歩いているとモニュメントに出くわした。

「 感謝 素直さ 反省心 瀬古利彦

と彫られた石と足形。

 

現役時代の瀬古さん 時事ドットコム HPより

 

あらためて言うまでもないが瀬古さんは桑名市出身。男子マラソン史上最強ランナーの一人で四日市工業高校→早稲田大学エスビー食品と進んで活躍した(Ep.42参照)。

 

桑名が誇る郷土の偉人はこの地で讃えられている。

 

 

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NTN Track & Field Park in Kuwana

Ep.115

NTN Track & Field Park is in Kuwana city.  What a beautiful and wonderful location is!

NTN inc. has their track & field club which sends some top athletes for Japanese national team of Olympic and World championship.

 

When we walk the field, we can find the monument, “Gratitude, Acceptingness and Self-searching by Seko Toshihiko”.

Mr.Seko is from Kuwana city and one of the all-time strongest marathon runner.

His achievement is honored in this place.

 

www.kuwanashisportshisetsu.jp

www.ntn-track.com

 

餃子の新味覚

Ep.114

四日市で最も有名な飲食店の一つ「餃子の新味覚」。

1955年に開業した老舗の餃子専門店だ。

 

餃子の新味覚 HPより

 

お店の外観もそうだが店内もまた風変わり。カウンター席には麻雀のパイが埋め込まれている。

餃子と一緒に牛乳を飲むことが推奨されている。予習なしで訪れた人にとっては戸惑うばかりだ。

実はこれは「大内山牛乳」。四日市を中心としたご当地牛乳で、市内のスーパーでは必ず販売されているものだ。

 

 

お店は大人気。休日は開店してすぐに混雑しているし(客席が少ないためでもある)、平日夕方に行っても既に完売で定刻前に店閉まいしている。

四日市固有の人気飲食店といえば、「来来憲」(ご当地グルメ四日市とんてきの元祖、Ep.27参照)とこの新味覚がツートップを形成している。

 

 

ところでこの新味覚、映画「男はつらいよ」のロケ地になったこともある。

1970年公開の第3作「フーテンの寅」(Ep.103参照)で、当時湯の山温泉にあった新味覚で寅さんがひと騒動起こすという場面である。

 

 

2020年7月までは桑名店もあった。そちらではテーブルに麻雀牌はなく、大内山牛乳もコップに入って出てきた。

カウンターでお客さんが食べているときも、隣のスペースではお店の年配女性スタッフたちがおしゃべりをしながらせっせと餃子を手作りしていた。愉快なお店だった。 

桑名店は桑栄メイト(桑名駅に隣接した商業ビル)の閉館に伴いすでに閉店している。

 

 

現在では四日市の本店のみ。

今日もこだわりの餃子を提供し続けている。

 

 

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Shinmikaku, specialized Gyoza restaurant in Yokkaichi

Ep.114

新味覚 Shinmikaku, specialized Gyoza (Chinese dumpling) restaurant in Yokkaichi is much popular.

It’s so funny, not only exterior, but interior.  Mahjong tiles are embedded in the counter!  What dies it mean??

Most people are recommended drinking Ohuchiyama milk, the local one.  Is it familiar with gyoza??

It’s a little bit mysterious restaurant.

 

https://www.shinmikaku.com

 

丹羽文雄

Ep.113

毎年1月下旬と7月下旬に発表される芥川賞直木賞

私は2006年あたりから現在までの全ての芥川賞作品を読んできている。

芥川賞は一度に2人受賞されることがよくあるから、40作品近く読んできたと思う。(ただし面白くなかったり難解だったりで序盤で挫折した作品もけっこうある...)

 

これだけの数の作品を読んでくると、おぼろげにパターンや共通点があることに気付く。

話の展開や、あるいは読み終えた後に、

ああ、芥川賞受賞作っぽいな

と思うのだ。

 

私見ではそのうちの一つが「破滅的なラスト」が訪れることだ。

これはバッドエンディングや悲劇を必ずしも意味するわけではない。主人公やその周辺人物の暗転が描かれる。

芥川賞受賞作とは、一歩ずつ一歩ずつ、ページをめくる毎に、破滅に向かって進む物語のことだ。

 

あー、やっぱりそうなっちゃうよね

という風に、ある程度予測できる破滅(予定調和的破滅)の作品が主の一方で、

えっ!? そっちの方向?

という破滅(意外性的破滅)もある。

後者の代表が『花火』(2015年上半期、又吉直樹氏)だ。

 

芥川龍之介 新潮社HPより

 

先ほど「芥川賞作の共通点」と言ってしまったが、考えてみるとそもそも「純文学の共通点」と言えるかもしれない。

『それから』(夏目漱石)も『雪国』(川端康成)も『人間失格』(太宰治)も『金閣寺』(三島由紀夫)も、全て破滅的なラストが訪れるではないか。

 

夏目漱石 新潮社HPより

 

文藝春秋の3月号と9月号はそのときの芥川賞作が全文掲載されるが、芥川賞選考委員たちの選評もまた、掲載される。選評とはすなわち読書感想文だ。

22年8月現在は山田詠美小川洋子川上弘美吉田修一といった現役作家たちが選考委員に名を連ねている。彼らが各々の作品をどう解釈してどう考察しているのか。それを読めるのもまた面白い。

 

基本的に、彼らの選評は優しい。厳しい評価が下される作品や著者もいるが、それも新人作家たちの今後の飛躍を期待してのこと。

 

けれどそうじゃない選考委員が、昔いた。故・石原慎太郎氏だ(1995年下半期〜2011年下半期)。

政治家として数々の奔放な発言をしてきた石原氏だが、芥川賞選考の場でも言いたい放題だった。

 

石原慎太郎 新潮社HPより

 

「今回の候補作の大方は読者の代表の一人たる私にとっては何とも退屈、あるいは不可解なものでしかなかった」(2007年上半期)

「どれも所詮は作者一人の空疎な思いこみ、中には卑しいとしかいえない当てこみばかりで、うんざりさせられる」(2008年下半期)

 

受賞作であろうとなかろうと、基本的にけちょんけちょんに酷評していた。石原氏が高評価を与えた作品の記憶がない。なので私は、

この人は一体なんのために芥川賞選考委員をしているんだ?

と思っていた。

 

ただしその一方で、私はこの人の選評を読むのが好きだった。毎回、

今回はどのようにボロクソ言うのだろう

と楽しみにしていたのだった。

 

石原氏は2011年下半期を最後に選考委員を退任した。

長年選考委員をつとめたのにいつまで経っても才能ある新人は出てこないし作品もレベルが低くてくだらないものばかり。自分にとってためにならないし時間の無駄。だから辞める。

という理屈だった。

 

その回も散々酷評した挙句、

「さらば芥川賞!」

と言い残して去って行ったのは、とても印象的だった。

 

2022年上半期(7月)の芥川賞受賞作『おいしいごはんが食べられますように』(高瀬隼子氏) 日本文学振興会HPより

 

ところで私が以前勤めていた東京の会社では、同僚に芥川賞作家がいた。

 

 

は?? どーいうことなの?!

 

となると思う。私も最初に誰かから聞かされたとき、そう思った。

 

姪が有名女優だったり、父親が著名な声優だったり、息子が甲子園優勝投手だったり、娘のクラスメイトが人気歌手だったり、というならまだ分かる(事実、そういう方たちがいた)。

けれど本人が芥川賞作家とはどういうことだ? と。嘘に決まってるじゃないか? と。

 

吉目木晴彦氏 安田女子大学HPより

 

けれどそれは事実だった。

1993年上半期の第109回芥川賞を『寂寥郊野』で受賞された吉目木晴彦さんだ。

私とは異なる事業部と勤務場所だったが、確かに在籍されていた。すでに執筆活動はされていないようだった。

 

私は『寂寥郊野』を始め吉目木さんの作品もいくつか読んだ。

人間の精神に通底する不信や欺瞞。それが見え隠れすること。気持ち悪いくらいのリアル感で、読んでいるとじっとりした脂汗が出てくるような作品だった。

読んでいて楽しい作品ではない(エンタメ性はない)。徹底的にリアリズムだ。

もちろん、破滅的なラスト(予定調和的破滅)が描かれる。

 

丹羽文雄 Wikipediaより

 

さて、だいぶ前置きが長くなったが、四日市にも芥川賞とゆかりのある人物がいる。

市内出身の作家、丹羽文雄である。

ただし本人は受賞していない。選考委員を1949年上半期から1984年下半期、36年もの長きに渡りつとめた。

 

四日市市立博物館(Ep.2159参照)には「丹羽文雄記念室」が常設されている。

 

 

多作な作家で、執筆原稿は5万枚を超えるとのこと。後年は浄土真宗の寺に生まれた自身の生い立ちに向かい『親鸞』(1969年)や『蓮如』(1982年)といった作品を残した。

 

芥川賞の選考委員ではどのような選評をされていたのだろうか。

きっと温かい選評をされていたに違いない。

 

野間文芸賞谷崎潤一郎賞の選考委員もつとめ、健全な批評の重要性を説き、多くの後進を育成した。日本文藝家協会の理事長もつとめ、文学者の社会的な地位向上に尽くしたとのことだ。

 

四日市が誇る郷土の偉人として顕彰されている。

 

 

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Niwa Fumio

Ep.113

Niwa Fumio (1904-2005) was a novelist from Yokkaichi.  Also member of an Akutagawa-Ryunosuke prize selection committee for 36 years, it’s the most valuable prize for young novelists of Jun-Bungaku field.

His carrier and achievement are honored in the Yokkaichi city museum.

 

www.city.yokkaichi.mie.jp

150.60.86.206

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